三角関数を含む不等式は受験数学でも頻出のテーマですが、慣れていないとどこから手をつければ良いか戸惑うことが多いです。今回は「0≦θ<2πにおいて cos2θ+√2sinθ-1<0」を例に、解法の流れを丁寧に解説します。
与えられた式の整理
問題は次の不等式です。
cos2θ+√2sinθ-1<0
まず、cos2θは二倍角の公式を使って展開できます。
cos2θ = 1 – 2sin²θ
これを代入すると、
1 – 2sin²θ + √2sinθ – 1 < 0
整理すると、
-2sin²θ + √2sinθ < 0
因数分解で解く
両辺を整理して、
2sin²θ – √2sinθ > 0
sinθ(2sinθ – √2) > 0
となります。ここで場合分けを考えます。
- sinθ > 0 かつ 2sinθ – √2 > 0
- sinθ < 0 かつ 2sinθ – √2 < 0
すなわち、
① sinθ > √2/2 のとき
② sinθ < 0 のとき
θの範囲を求める
sinθ > √2/2 のとき、θは第1象限および第2象限で、具体的には
θ ∈ (π/4, 3π/4)
また sinθ < 0 のとき、θは第3象限と第4象限で、
θ ∈ (π, 2π)
最終的な解
以上より、不等式の解は次の範囲にまとまります。
θ ∈ (π/4, 3π/4) ∪ (π, 2π)
具体例で確認
例えば θ = π/2 のとき、cos2θ = cosπ = -1、sinθ = 1 なので式は -1 + √2 – 1 = √2 – 2 となり、これは負なので不等式を満たします。
また θ = 3π/2 のとき、cos2θ = cos3π = -1、sinθ = -1 なので式は -1 – √2 – 1 = -2 – √2 で、これも負となり条件を満たします。
まとめ
今回の不等式は、倍角の公式を使ってsinθの二次不等式に帰着させ、場合分けによって解を導きました。三角関数の不等式を解く際は、公式の適切な利用と符号の分岐がポイントとなります。これを押さえると、複雑に見える不等式もスムーズに解けるようになります。
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