空冷式ビルマルチ室外機の電源配線設計は、電流容量やケーブサイズの選定において慎重な考慮が必要です。今回は、配線遮断器容量や電線の許容電流に関しての質問にお答えし、なぜ22sqの電線サイズが選ばれるのかを解説します。
1. 仕様書に記載された条件の理解
質問者の方が言及している内容から、まずは仕様書に記載された情報を整理することが重要です。配線遮断器の容量が60Aとなっており、電源最小太さが22sqであることが記されています。ここでの「電源最小太さ」は、使用する電線の直径や断面積を指し、これが十分な許容電流を確保するための目安となります。
この条件に基づいて、実際に使用するケーブルの許容電流がどの程度かを計算してみると、CVT8sqやCVT14sqのケーブルでは、電流の許容範囲に対して不足しないことが分かります。しかし、なぜ22sqを選ぶ必要があるのでしょうか。
2. ケーブサイズ選定の理由
22sqのケーブサイズが選ばれる理由として、電流容量だけでなく、他にもいくつかの要素を考慮する必要があります。例えば、電圧降下の影響や、長距離配線の場合の電力損失、さらに安全性を確保するための予備のマージンを考慮することが重要です。
電圧降下とは、電流が配線を通ることによって生じるエネルギーの損失であり、長距離配線の場合はその影響が大きくなります。このため、許容電流範囲を少し余裕を持たせるために、22sqを選定することが適切だとされています。
3. ケーブルサイズを下げることについて
質問者の方が「電圧降下の許容範囲であればケーブサイズを下げてもいいのか?」と疑問に思っている点について、答えは「基本的にその通り」です。電圧降下が許容範囲内に収まるのであれば、ケーブルサイズを下げることが可能です。
しかし、あくまでその範囲内での話であり、電流容量が足りない場合や、安全上のリスクを避けるために、最小サイズのケーブルを使用することが推奨されます。設計段階での最小サイズの選定は、慎重に行うべきです。
4. まとめと実際の設計での注意点
最終的に、ケーブルの選定には複数の要素が絡むため、単純に電流容量だけで判断するのではなく、電圧降下や安全マージンなども考慮に入れて設計を行うことが重要です。
また、ケーブルの選定においては、最小の太さだけでなく、取り扱う電力の量や使用環境(温度、湿度、配線の長さ)を踏まえた上で、適切なサイズを選ぶようにしましょう。もし、設計に不安がある場合は、専門の技術者に相談することをお勧めします。
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