日本が今後の農業政策を考える上で、英国の歴史的な教訓をどのように活かすべきかについて考察します。特に、第二次世界大戦中の食料不足がきっかけとなり、食料自給率向上を国策とした英国の取り組みが、現代の日本にもどのような影響を与えるかについて解説します。
英国の食料自給率の歴史的背景
英国は、第一次世界大戦および第二次世界大戦を経て、食料自給率の低さが国民生活に及ぼす深刻な影響を実感しました。戦争中、食料輸入が途絶え、国民が飢えるという事態が発生しました。この歴史的な教訓を受けて、戦後、英国は食料自給率と穀物自給率の向上を国策として推進しました。特に、カロリーベースの自給率向上が重視されました。
第二次世界大戦時、英国は食料の約70%を輸入しており、チーズや果物、穀物など、多くの食料を他国に依存していました。そのため、戦争が激化する中で、ドイツ軍のUボートによる商船攻撃により食料の供給が困難になり、国民が飢餓に苦しむ事態が発生しました。
日本と英国の農業政策の違い
現代の日本においても、農業政策は重要なテーマですが、輸入依存度の高さや農業従事者の高齢化、米農家の所得問題など、課題が山積しています。しかし、英国が示したように、食料自給率を高めるためには、戦争や災害などのリスクを避けるための長期的な視野を持った政策が求められます。
日本は輸入依存から脱却し、国内生産を増やすための取り組みが必要です。しかし、経済学的には、リカードの比較優位理論を参考にし、効率的な農業生産が求められる一方で、地域によっては食料の安定供給を確保するために自給力を高めることが重要だと言えます。
食料自給率とカロリーベースの視点
英国の教訓から学ぶべきポイントは、単に生産額ベースでの自給率を上げるのではなく、カロリーベースでの自給率を考慮することです。日本においても、食料の安全保障を確保するためには、米や穀物など、カロリーを多く供給できる農産物の生産を強化することが重要です。
経世論研究所所長の三橋貴明氏が指摘するように、米農家の低所得問題を解決し、農業の競争力を高めるためには、効率的な生産方法や再生産可能な価格の保障が必要です。これにより、日本の農業の基盤を強化し、食料供給を安定させることができます。
日本が取り組むべき農業政策
日本においても、英国のように食料自給率の向上を目指す政策が重要です。現在、日本の米農家は低所得で苦しんでおり、農業従事者の高齢化も問題です。これを解決するためには、農業の効率化と技術革新、農家への所得補償などが必要です。
また、日本の農業を支えるためには、輸入に依存しすぎず、国内で安定的に食料を生産できる体制を整えることが重要です。農業政策を強化し、国内農業の競争力を高めるためには、農業従事者の支援や政策的なバックアップが欠かせません。
まとめ
英国の食料自給率向上の歴史から学ぶべき教訓は、食料の安定供給が国の安全保障にとって非常に重要であるという点です。日本も、戦争や自然災害に備えて、食料自給率を高めるための政策を強化する必要があります。農業の効率化、技術革新、そして農家への支援が日本農業の未来を支える鍵となるでしょう。


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