アボガドロ定数は化学において非常に重要な数値であり、1molあたりの粒子数を示しています。ここでは、岩塩(NaCl)の結晶構造を利用してアボガドロ定数を求める方法を、できるだけわかりやすく解説します。教科書や実験でよく扱われるテーマなので、化学を学ぶ方にとって理解の助けになるでしょう。
アボガドロ定数とは
アボガドロ定数は「1molに含まれる粒子数」で、約6.02×1023個と定義されています。水分子でも、ナトリウムイオンでも、この数だけ粒子が含まれることになります。
しかし、この値は最初から決まっていたのではなく、実験や理論によって導き出されたものです。その代表的な方法が「結晶を使った測定」です。
岩塩結晶の特徴
岩塩(NaCl)は、立方晶系の結晶構造を持っています。Na+とCl–が交互に規則正しく並び、ひとつの単位格子(結晶の基本的な繰り返し構造)を形成しています。
岩塩型結晶では、1つの単位格子に含まれるNaClの組数は4組です。この点を利用してアボガドロ定数を求めることができます。
計算の手順
アボガドロ定数を求めるには、以下のステップを踏みます。
- ① 岩塩の密度(実測値:約2.17 g/cm³)を使う
- ② NaClのモル質量(約58.5 g/mol)を用意する
- ③ 結晶の単位格子の1辺の長さ(X線回折で求められ、約564 pm = 5.64×10-8 cm)を使う
このとき、単位格子の体積は a³ = (5.64×10-8 cm)³ ≈ 1.79×10-22 cm³ となります。
単位格子あたりに含まれるNaClは4組なので、その質量は (58.5 g/mol ÷ N) × 4 です。
式に当てはめる
密度 = (単位格子中の質量) ÷ (単位格子の体積)
つまり、
2.17 = [(58.5 ÷ N) × 4] ÷ (1.79×10-22)
これを解くと、N ≈ 6.0×1023 というアボガドロ定数が得られます。
理解を深めるためのポイント
この方法では「目に見える大きさの結晶の密度」や「原子レベルでの単位格子の大きさ」といった、マクロとミクロの情報を結びつけることが重要です。つまり、私たちが日常で扱うグラムやセンチメートルと、原子の世界のピコメートルや分子数を橋渡しするのがアボガドロ定数なのです。
まとめ
岩塩を使ったアボガドロ定数の求め方は以下の流れでした。
- 岩塩の密度・モル質量・格子定数を調べる
- 単位格子あたりの物質量を計算する
- 密度の式に代入してNを求める
このプロセスを理解することで、単なる「暗記」ではなく、化学の本質に近づくことができます。ぜひ計算を自分の手で追って、アボガドロ定数の意味を実感してみてください。
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