高校数学において、関数とその接線の共有点を求めるとき「接点のx座標は重解を持つ」という性質がよく使われます。特に多項式関数と接線を連立する場合、なぜそのようなことが言えるのか疑問に思う人も多いでしょう。この記事では、実際の例題を通してその理屈と因数分解の根拠を詳しく解説します。
接線と曲線の関係とは?
ある関数y=f(x)のグラフにおいて、接線とは「その点でグラフと接し、かつ傾きが一致する直線」を指します。接点ではグラフと接線がただ一点で重なっているように見えますが、式を連立すると必ず重解が現れるのが特徴です。
これは、曲線と接線が一点で交わるだけでなく、接する瞬間には「交わり方が2重になる」ためです。したがって、x=接点の座標は共有解として2回数えられる、すなわち重解になるのです。
実際の問題設定
関数をf(x)=x⁴-6x³+13x²-13xとし、そのグラフをCとします。点(1,f(1))における接線lを考えます。このとき、Cとlの共有点を求めたいとします。
接線を求めるために、まずf'(x)を計算します。
- f'(x)=4x³-18x²+26x-13
- f'(1)=4-18+26-13=-1
したがって接線の方程式は、点(1,-5)を通り傾きが-1の直線なので、l: y=-x-4となります。
連立方程式の導出
Cとlの共有点を求めるために連立します。
- x⁴-6x³+13x²-13x = -x-4
- ⇔ x⁴-6x³+13x²-12x+4=0
ここで「接線である」という事実から、x=1は必ず重解になります。
重解を持つ理由
なぜx=1が重解になるかというと、接線は接点で曲線と傾きが一致するため、「単なる交点」ではなく「接触する交点」になるからです。グラフを近くで見れば、直線と曲線が一瞬の間同じ方向に進んでいるため、交点が2回分重なっているのと同じ意味を持ちます。
つまり、連立式の解の中にx=1が2回現れるのは必然であり、そのことから因数分解の際に(x-1)²が含まれると考えられます。
因数分解の展開
実際に因数分解をすると。
x⁴-6x³+13x²-12x+4 = (x-1)²(x²-4x+4)
となり、確かにx=1が重解であることが表されています。残りの因数(x²-4x+4)=(x-2)²から、他の共有点はx=2の重解であることもわかります。
具体例での理解
例えば、放物線y=x²と接線y=2x-1を考えるとします。このとき両者を連立すると。
x²=2x-1 ⇔ x²-2x+1=0 ⇔ (x-1)²=0
となり、やはりx=1が重解になります。接点では常にこのように重解が現れるのです。
まとめ
接線と曲線を連立すると接点のx座標は必ず重解になります。これは、交点が「二重に重なっている」ことを意味するためです。そのため因数分解の際に(x-接点)²が因数として現れます。この性質を理解すると、因数分解の見通しも立ちやすくなり、数学の問題をスムーズに解けるようになります。
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