本記事では、アミノ酸<グリシン(Gly)・アラニン(Ala)・システイン(Cys)>がペプチド結合で連なったトリペプチドを、試験でそのまま使える形で示します。配列は例としてN末端→C末端を Gly-Ala-Cys とし、ペプチド結合(–C(=O)–NH–)の部分を赤枠で囲んで強調します。
1. 構造式(生理的pH近辺の表記:両性イオン)
一般に中性付近ではN末端は陽性(–NH3+)、C末端は陰性(–COO−)になっています。
(+H3N)-CH2-C(=O)-NH-CH(CH3)-C(=O)-NH-CH(CH2SH)-C(=O)O−
赤枠のC(=O)-NHがペプチド結合(アミド結合)です。左がGly、中央がAla、右がCysの側鎖で、Cysの–SHは結合に関与せず残ります。
2. 構造式(中性分子の縮合表記:描画の定番)
荷電を省いて書く場合は次のように表せます(試験の指示に従って使い分け)。
H2N-CH2-C(=O)-NH-CH(CH3)-C(=O)-NH-CH(CH2SH)-C(=O)OH
いずれの書き方でも、N末端(左)→C末端(右)の骨格方向と、–C(=O)–NH–が2箇所あることをはっきり示すのがポイントです。
3. 一筆書きで迷わない描き方(手順)
- 左端に
H2N-CH(R)-C(=O)-
の雛形を置く(今回R=HでGly)。 - 次のアミノ酸(Ala)を
-NH-CH(CH3)-C(=O)-
と続ける。 - 最後にCysを
-NH-CH(CH2SH)-C(=O)OH
で閉じる。 - C(=O)-NH 部分に赤枠を付け、ペプチド結合を明示。
※ 立体はL体(自然界標準)を想定。試験で立体指定がなければ平面構造で可。
4. よくあるミスとチェックリスト
- × –C(=O)–O– としてしまう(エステルになってしまう)。必ず –C(=O)–NH–。
- × Cysの–SHを結合に使ってしまう(それはジスルフィド結合の話)。本問では–SHはそのまま。
- × 両端の官能基を両方とも中性に固定する。指示がなければ両性イオン表記も可。
5. 補足(略記・SMILESなど)
配列略記:Gly–Ala–Cys
。簡略SMILES(立体省略):NCC(=O)NC(C)C(=O)NC(CS)C(=O)O
。化学的定義や命名の詳細は [参照]ペプチド結合 を確認すると安心です。
まとめ
Gly–Ala–Cys のトリペプチドは、主鎖が –NH–CH(R)–C(=O)–
の繰り返しで、C(=O)-NH が2箇所のペプチド結合です。試験ではN→Cの向きを意識し、–C(=O)–NH–を枠で囲って強調すれば減点を防げます。
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