多項式の展開では、途中でまとめて文字を置き換えるテクニックがありますが、その使い方を誤ると答えがおかしくなることがあります。今回は(a+2b+3c)(a-2b+3c)という式を題材に、なぜ「2b+3cをAと置き換える」と間違いが生じやすいのかを解説し、正しい解法をステップごとに紹介します。
展開の基本ルール
まず展開の基本は、分配法則を正しく使うことです。式(a+X)(a-Y)の形であれば、公式に従って次のように展開できます。
(a+X)(a-Y) = a² – aY + aX – XY
このように「一文字に置き換えてから公式を適用する」場合は、必ず前後の符号や項のまとまりに注意する必要があります。
なぜ「2b+3c=A」とするとおかしくなるのか
今回の式は(a+2b+3c)(a-2b+3c)です。ここで2b+3cをまとめてAと置くと、式は(a+A)(a-A)となり、平方差の公式よりa² – A²と展開できます。
ところがA² = (2b+3c)² = 4b²+12bc+9c²となるため、展開結果は a² – (4b²+12bc+9c²) になります。
一方で、本来の展開は次の通りです。
(a+2b+3c)(a-2b+3c) = a² – (2b+3c)² = a² – (4b²+12bc+9c²)
実は結果は同じなのですが、「なぜか違う気がする」と感じるのは、展開後にbcの項が現れる点や、2bと3cをバラバラに扱っていた方が直感的に整理しやすいからです。
正しい解法のステップ
では、置き換えをせずに直接展開してみましょう。
(a+2b+3c)(a-2b+3c) = a(a-2b+3c) + (2b+3c)(a-2b+3c)
= a² – 2ab + 3ac + 2ab – 4b² – 6bc + 3ac – 6bc – 9c²
整理すると、a² + 6ac – 4b² – 12bc – 9c² になります。
これは確かにa² – (2b+3c)²と同じ結果です。
置き換えを使うときの注意点
置き換えは計算をシンプルにする便利な方法ですが、注意点があります。
- 置き換える範囲を「完全なまとまり」で考える。
- 展開したあとに必ず元に戻す。
- 符号や乗法のルールを見落とさない。
今回の例では、2b+3cをAとまとめること自体は正しいですが、A²を展開して具体的に戻す必要がある点で混乱しやすいのです。
まとめ
(a+2b+3c)(a-2b+3c)の展開は、平方差の公式を使って a² – (2b+3c)² と表せます。置き換えを使うときは必ず「戻す」ことを忘れないことが重要です。計算の正しさを確認するためには、直接分配法則で展開して整理するのもおすすめです。
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