pHが6の水溶液を1000倍に薄めたとき、pH7を超えて9にはならないのはなぜでしょうか?これは、pHの定義と水の特性に関連しています。この記事では、この現象が起こる理由について化学的な観点から解説します。
pHとは?その基本的な定義
pHは、水溶液中の水素イオン(H+)の濃度を表す指標です。pHスケールは0から14の範囲で、pH7が中性、7未満が酸性、7より大きいとアルカリ性を示します。pHは以下の式で求められます。
pH = -log[H+]
水溶液の希釈とpHの変化
pH6の水溶液を1000倍に薄めると、理論的には水素イオンの濃度も1000分の1になるため、pHが7に近づくことが予想されます。しかし、pHが7を超えて9にはならない理由は、水の性質に関係しています。
水は中性のpH7を持っており、常に水素イオンと水酸化物イオン(OH-)が微量で存在しています。薄めた水溶液の水素イオン濃度が極端に低くなると、他の水分子から水素イオンが出てくることがあります。この現象により、pHは7で安定し、9を超えることはありません。
水の自己解離とpHの制限
水は自己解離と呼ばれる反応を起こします。水分子が水素イオン(H+)と水酸化物イオン(OH-)に分かれる現象です。これにより、水は常にわずかな水素イオンを持ち、pH7の状態を保ちます。
希釈によって水素イオンの濃度が低下すると、水分子は自己解離して水素イオンを補充しようとします。このため、pH6の溶液を1000倍に薄めても、pH7を超えてアルカリ性になることはないのです。
まとめ
pH6の水溶液を1000倍に薄めても、pH7を超えて9にはならないのは、水の自己解離によって水素イオンの濃度が一定の範囲内に保たれるからです。水の特性とpHスケールの関係を理解することで、希釈や水溶液のpH変化に対する理解が深まります。
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