二項分布が正規分布に近似される理由は、中央極限定理(Central Limit Theorem)に基づいています。この理論は、独立した確率変数の合計が十分に多い場合、その分布が正規分布に近づくことを示しています。二項分布もその一例です。
1. 二項分布の基本
二項分布は、独立した試行を繰り返し、各試行で成功か失敗かの2つの結果がある場合に用いられます。例えば、コインを10回投げた場合、その成功回数の分布は二項分布に従います。成功の確率がp、試行回数がnであるとき、その確率質量関数は次のように表されます。
2. 中央極限定理とは?
中央極限定理によると、十分に多くの独立した確率変数の和(または平均)は、その個々の確率分布に関わらず、正規分布に近づきます。二項分布も「n回の試行」が繰り返されることで、nが大きくなるとその分布が正規分布に近似されるのです。特に、試行回数nが大きい場合、この近似は非常に精度が高くなります。
3. 二項分布と正規分布の関係
二項分布の期待値(平均)はnp、分散はnp(1-p)であり、試行回数nが大きくなるほど、これらの値に基づいて計算される正規分布の形が近づいていきます。正規分布への近似が成立するためには、nが大きく、pが0と1の間で極端な値を取らないことが重要です。
4. 二項分布が正規分布に近似される条件
二項分布が正規分布に近似されるための一般的な条件として、「np > 5 および n(1-p) > 5」があります。これらの条件を満たす場合、二項分布を正規分布で近似して計算することができます。実際には、pが0.5に近いとき、より少ない試行回数でも近似が精度よく成立します。
まとめ
二項分布が正規分布に近似される理由は、中央極限定理によるものであり、試行回数nが増加することで、その分布が正規分布に近づくためです。この性質は、確率論や統計学において非常に重要であり、多くの実務的な問題において有用です。
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