差動増幅器のCMRRと入力電圧の関係:同相出力から差動入力電圧を求める方法

工学

差動増幅器において、同相入力信号が出力に与える影響を評価する指標として、共通モード除去比(CMRR)が重要です。特に、同相入力信号が出力にどのように影響するかを理解することは、精度の高い測定や信号処理において不可欠です。

CMRRの定義と計算式

CMRRは、差動入力信号に対する出力の変化と、同相入力信号に対する出力の変化の比率を示す指標です。具体的には、次の式で表されます。

CMRR = 20 × log10(Ad / Acm)

ここで、Adは差動ゲイン、Acmは同相ゲインです。CMRRが高いほど、同相入力信号の影響を低減できることを意味します。

問題の設定と与えられた情報

問題では、以下の情報が与えられています。

  • 同相入力信号(Vcm): 5V
  • 同相出力(Vcm_out): 5mV
  • 差動出力(Vd_out): 5V
  • CMRR: 108dB
  • 増幅器Aは理想的な差動増幅器とする
  • ゲイン係数g102 = 0.3

同相入力信号から差動入力信号を求める手順

1. CMRRをデシベルから線形比に変換します。

CMRR_linear = 10^(CMRR_dB / 20)

2. 同相出力から同相ゲインを求めます。

Acm = Vcm_out / Vcm

3. 差動ゲインを求めます。

Ad = Acm × CMRR_linear

4. 差動入力信号(Vd)を求めます。

Vd = Vd_out / Ad

計算例

与えられた値を用いて計算を行います。

CMRR_linear = 10^(108 / 20) ≈ 3981.07

Acm = 5mV / 5V = 0.001

Ad = 0.001 × 3981.07 ≈ 3.981

Vd = 5V / 3.981 ≈ 1.26V

したがって、差動入力信号の電圧Vdは約1.26Vとなります。

まとめ

差動増幅器において、同相入力信号が出力に与える影響を評価するためには、CMRRを用いて同相ゲインと差動ゲインを計算し、最終的に差動入力信号を求めることができます。これにより、増幅器の性能や信号処理の精度を理解することができます。

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