自己バイアス回路では、ベース-エミッタ間電圧が増加した場合、ベース電流が一時的に増加する現象があります。この現象について、特に固定バイアス回路との違いを理解することが重要です。この記事では、そのメカニズムをわかりやすく解説します。
自己バイアス回路と固定バイアス回路の違い
自己バイアス回路では、エミッタ抵抗を使用してベース電流を調整します。固定バイアス回路では、ベース電圧が固定されているため、ベース電流はおおむね一定となります。一方、自己バイアス回路ではエミッタ電流が変化することにより、ベース電流も調整されます。
このため、自己バイアス回路の初期的な挙動では、ベース-エミッタ間電圧が増加することによりベース電流が一時的に増加する現象が観察されます。
ベース電流の増加が初期的に起こる理由
自己バイアス回路では、ベース-エミッタ間電圧が増加すると、エミッタ電流も増加し、それに伴いベース電流も増加します。この増加は、最初の段階では負帰還の効果が十分に効かないため、ベース電流は増加しやすいです。
最初に増加するベース電流がエミッタ電流を増加させ、それが再びベース電圧を変化させることで、負帰還が働き、最終的にはベース電流が減少することになります。このメカニズムが自己バイアス回路特有の挙動を生んでいます。
固定バイアス回路との違い
固定バイアス回路では、ベース電圧が一定に保たれるため、ベース電流も初期から一定の値になります。つまり、Vcc = Vbe – IbRbという式が適用され、最初からベース電流が減少し始めます。
これに対して自己バイアス回路では、初期的にエミッタ電流が増加し、それに伴いベース電流も増加するという過程があるため、最初は増加するように見えるのです。
負帰還の影響とその安定化
自己バイアス回路における負帰還は、回路を安定させるために非常に重要な役割を果たします。ベース-エミッタ間電圧の増加によりベース電流が増加し、その結果としてエミッタ電流が増加します。これが負帰還の原理に基づき、最終的に回路の安定を保つために働きます。
負帰還は、最初の段階ではベース電流の増加を引き起こすものの、最終的にはその増加を抑制し、回路を安定させるために重要なメカニズムとなります。
まとめ
自己バイアス回路では、最初にベース-エミッタ間電圧が増加することによりベース電流が一時的に増加する現象が観察されます。これは負帰還が効く前の初期的な段階であり、その後負帰還によってベース電流は減少し、回路が安定します。固定バイアス回路とは異なり、自己バイアス回路はエミッタ抵抗を活用してベース電流を動的に調整するため、このような挙動が現れるのです。
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