ユークリッドの『原論』では、直角が90度であることや、一周が360度であることについて、どのように定義されているかについては、しばしば混乱を招くことがあります。今回はこの点について解説し、これらがどこで明示されているのか、あるいは自明とされているのかについて探ります。
1. ユークリッド原論における角度の定義
『原論』の中で、ユークリッドは基本的な幾何学の定義と公理を使って、平面幾何学を体系的に構築しています。しかし、直角が90度であるという具体的な定義や、一周が360度であるという概念は直接的には記述されていません。
ユークリッドの『原論』の中では、角度の大きさに関する厳密な定義は示されていないため、現代的な意味での「角度」がどのように計算されるかという基準が示されていないのです。
2. 直角が90度である理由
直角が90度であるという概念は、後の数学者によって一般的に定義されました。ユークリッド自身は直角を「直線と直線が交わってできる角」として定義し、そこから90度という数値が導かれたのです。このように、90度という値は、より後の数学的発展によって標準化されました。
つまり、ユークリッドの時代には「直角」という概念はあったものの、具体的な数値的な定義(90度という値)は明確にはされていませんでした。90度という数値は、後の時代に標準化されたものです。
3. 360度の定義について
また、一周が360度であるという定義も、ユークリッド原論には記載されていません。これは、天文学や暦の研究から影響を受け、古代バビロニア人が360という数を選んだことに起因しています。360という数は、円の周囲を分割するために使われる便利な単位として後の数学に取り入れられました。
ユークリッドは、円周とその中の角度に関する議論は行いましたが、円の周囲を360度とする概念は、後の時代に定義されたものです。
4. ユークリッドの公理と現代の解釈
『原論』では、基本的な公理や定義を基に、幾何学的な関係が導き出されますが、具体的な数値的な定義については触れていません。直角が90度であるとか、一周が360度であるというのは、後の数学の発展の中で標準化された概念です。
5. 結論
ユークリッド原論では、直角や360度という数値的な定義については記載がありませんが、これらの概念が現代の数学でどのように標準化され、使用されるようになったのかを理解することが重要です。これらは、後の数学的進展の中で自明なものとされるようになりました。
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