今回の問題では、大数の法則とその応用について誤解を招くような記述がありました。特に、サイコロを投げた結果としての和に関する誤った解釈が含まれています。この問題の正しい理解を深めるために、いくつかの重要なポイントを解説します。
大数の法則とは
大数の法則とは、同じ実験を繰り返すことによって、その平均が真の平均に収束するという法則です。例えば、サイコロを何回も振ると、その平均値が6面サイコロの理論的な期待値(3.5)に近づいていくというものです。
問題文の誤りとその理由
問題文では「複数の確率変数の和を標本数で割った確率変数である標本平均は、分布の平均に収束する」と記載されていますが、この表現にはいくつかの誤解が含まれています。標本平均は、確率変数を一定回数繰り返し観測した結果を平均したものです。そして、この標本平均が収束するのは、理論的には標本数が無限大に近づくときです。
サイコロの和の計算に関する誤解
問題文では「サイコロを十分大きな回数、例えば 10000 回投げて出た目の和を調べると,35000 に近い値が出るはずだ」とありますが、これは間違いです。サイコロの期待値は3.5であるため、10000回投げた場合の和の期待値は10000×3.5=35000ですが、実際にはその和が35000にぴったり一致するわけではなく、確率分布に従ったばらつきが生じます。したがって、必ず35000になるわけではありません。
正しい解釈
正しい理解は、サイコロを10000回投げた場合、その目の和が期待値である35000に近づくものの、完全に一致することはなく、ある程度のばらつきがあることです。大数の法則が示すのは、このような「長期的には収束する」という性質であり、1回1回の試行で得られる結果に過度に依存するわけではないという点です。
まとめ
大数の法則は、同じ実験を繰り返すことでその平均が理論的な平均に収束するという強力な法則ですが、その適用には注意が必要です。サイコロの場合、長期的には目の和は期待値に収束しますが、短期的な試行においては多少のばらつきがあることを理解しておきましょう。
コメント