物理学では、仕事(Work)を定義する際、力(F)と移動距離(Δx)の積として「W = FΔx」という式が使われます。しかし、この式における仕事の正負や、どちらの方向を正として取るべきかという点については、混乱を招くことがあります。本記事では、仕事の正負の決まり方や、された仕事、した仕事の見分け方について解説します。
仕事の定義と方向の選び方
仕事は、物体に力が加わり、その力によって物体が移動したときに発生します。「W = FΔx」の式において、Fは加えられる力、Δxは物体の移動距離を示します。この式における仕事の符号(正または負)は、力と移動方向がどのように関係しているかによって決まります。
物理で仕事の符号を決める際、移動距離の正方向をどちらに設定するかが重要です。通常、物理の問題では事前に「x軸の正の方向」を定め、そこに従って力の向きを判定します。
仕事の符号の決定方法
仕事が「正」になる場合は、加えられた力が物体を移動させた方向に進んだ場合です。つまり、力と物体の移動方向が一致するとき、仕事は正になります。逆に、力が物体の移動方向と反対に作用するときは、仕事は負になります。
例えば、物体が右に移動しているときに右向きに力を加えた場合、その仕事は正です。反対に、物体が右に移動しているときに左向きに力を加えた場合、その仕事は負になります。
「された仕事」と「した仕事」の見分け方
「された仕事」と「した仕事」という表現には意味の違いがあります。「した仕事」とは、力が物体に加わり、その力で物体を移動させた場合の仕事を指します。つまり、力を加えた側が「仕事をした」ということです。
一方、「された仕事」とは、物体が力を受けてその力によって移動した場合です。物体が受けた力によって移動したとき、物体は「仕事をされた」と言えます。これにより、加える力と受ける力の違いにより、どちらがした仕事かされた仕事かが判別できます。
仕事の正負と実際の例
実際の生活で仕事の正負を理解するための例を挙げてみましょう。例えば、重い箱を手で押して運ぶ場面では、手の力が箱を動かす方向に作用するので、手の力が「した仕事」となり、その仕事は正になります。逆に、箱が滑って落ちるのを止めるために力を加える場合、その力は箱の移動方向とは反対に作用するため、その仕事は負の仕事となります。
まとめ
物理における仕事の正負は、力と移動の方向によって決まります。移動方向と力の方向が一致すれば正の仕事、逆方向であれば負の仕事となります。また、仕事をした側とされた側を区別することで、「した仕事」と「された仕事」を見分けることができます。問題を解く際は、x軸の正方向を設定し、その上で力の方向を判断すると良いでしょう。
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