ボルタ電池は、亜鉛(Zn)と銅(Cu)の金属板を希硫酸(H₂SO₄)に浸すことで構成される化学電池です。負極では亜鉛が酸化されて亜鉛イオン(Zn²⁺)と電子を放出し、正極では水素イオン(H⁺)が電子を受け取って水素分子(H₂)として発生します。
ボルタ電池の構造と反応
ボルタ電池の構造は、負極に亜鉛板、正極に銅板を使用し、両者を希硫酸溶液で繋げたものです。負極での反応は以下の通りです。
Zn → Zn²⁺ + 2e⁻
この反応で放出された電子は導線を通じて正極に移動し、正極では水素イオンが電子を受け取って水素分子を生成します。
2H⁺ + 2e⁻ → H₂
水素が銅板に溜まる理由
正極で発生した水素分子は気体であり、銅板の表面に気泡として付着します。これらの水素分子は銅板の表面に留まり、電極反応が進行するのを妨げることがあります。特に、銅は水素発生反応の触媒として働くため、水素分子が銅板に付着しやすくなります。
亜鉛板には水素が溜まらない理由
負極である亜鉛板では、亜鉛が酸化されて亜鉛イオンと電子を放出しますが、水素イオンが還元されて水素分子を生成する反応は主に正極で行われます。したがって、亜鉛板には水素が溜まることはありません。
分極現象とその影響
水素分子が銅板の表面に付着すると、正極での水素イオンの還元反応が妨げられ、電流の流れが低下する現象が「分極」と呼ばれます。分極が進行すると、電池の起電力が低下し、効率が悪化します。
分極の抑制方法
分極を抑制するためには、過酸化水素(H₂O₂)などの減極剤を溶液に加える方法があります。これにより、銅板上の水素分子が酸化されて水に変わり、分極が軽減されます。
まとめ
ボルタ電池では、正極で水素分子が発生し、銅板の表面に付着することで分極現象が起こります。亜鉛板では水素が発生しないため、水素が溜まることはありません。分極を抑制するためには、減極剤の使用が効果的です。
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