酸化還元反応における平衡が右に寄るか左に寄るかを決定するためには、ギブズ自由エネルギー(ΔG)と電気化学的エネルギー(E)を関連づける公式を用います。この問題では、与えられた条件をもとに平衡が右に寄るか左に寄るかを計算する方法を解説します。
酸化還元反応の式
与えられた酸化還元反応は次の通りです。
Zn2+ + Cu ⇋ Zn + Cu2+
この反応は、亜鉛(Zn)と銅(Cu)の間で電子の移動が行われることを示しています。
ギブズ自由エネルギーと電気化学的エネルギーの関係
この問題では、ギブズ自由エネルギー(ΔG)と電気化学的エネルギー(E)の関係を使って、平衡が右に寄るか左に寄るかを判断します。関係式は次のようになります。
-ΔG = 2.303RT(logK) = ΔnFE
ここで、ΔGはギブズ自由エネルギー、Rは気体定数、Tは温度、Kは平衡定数、Fはファラデー定数、Δnは反応における物質のモル数の変化、Eは電気化学的ポテンシャルです。
与えられた値を使って計算
問題に与えられた値は以下の通りです。
- R = 1.99 cal/mol・K
- T = 300 K
- F = 23063 cal/V・equivalent
- Zn の酸化還元電位 = -0.76 V
- Cu の酸化還元電位 = +0.34 V
まず、各電極の酸化還元電位の差を求めます。
ΔE = ECu2+/Cu – EZn2+/Zn
ΔE = (+0.34 V) – (-0.76 V) = +1.10 V
次に、ギブズ自由エネルギーの変化を求めるための式に代入します。
-ΔG = ΔnFE = 1 × 23063 × 1.10 = 25369.3 cal/mol
これにより、ΔGが負の値となるため、反応は自発的に進行し、平衡は右に寄ることがわかります。
まとめ
Zn2+ と Cu の酸化還元反応において、ギブズ自由エネルギーの計算結果から、反応が右に寄ることが確認できました。このように、酸化還元電位の差を用いて反応の進行方向を予測することができます。
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