十訓抄の第一段落の「女房の、中より、昔を思ひ出でて」という部分に関して、訳がわからないという質問をよく見かけます。この表現をどのように理解し、訳すかについては、句読点や言葉の意味の取り方によって異なります。この記事では、この句の意味と適切な訳し方について解説します。
「女房の、中より、昔を思ひ出でて」の意味
まず、「女房の」という部分ですが、ここでは「女房」というのは「妻」を意味します。次に「中より」とありますが、ここでの「中」とは何か特定の場所を指しているわけではなく、文脈から考えると、妻が何かの内側、または自分の心の中から過去の出来事を思い出す、という意味です。
その後の「昔を思ひ出でて」とは、過去の出来事を思い出している状態を表しています。つまり、この部分は「妻が過去の出来事を心の中で思い出しながら」といった意味になります。
「簾の中から」という解釈は可能か?
質問者は、「簾の中から」という訳を考えたようですが、この「中」という言葉が「簾の中」を指していると解釈するのは少し強引かもしれません。確かに、簾の中という表現は何か隠れているイメージを持つかもしれませんが、文脈的に考えて、ここでの「中」は妻の心の中、または思い出の中という意味合いが強いと思われます。
このため、「簾の中から」という訳は少し異なり、「心の中から」と解釈する方が自然です。特に古典文学の中では、内面的な心情がよく「中」と表現されるため、この訳の方が適切だと考えられます。
訳の流れと文脈
「女房の、中より、昔を思ひ出でて」というフレーズを訳す際に重要なのは、文脈全体の流れを考慮することです。十訓抄の文全体は、古典文学の特有のリズムや言葉の使い方をしています。そのため、直訳だけではなく、文の意味がどのように展開しているのかを理解した上で訳すことが大切です。
この部分の訳としては、以下のように解釈できます:「妻は心の中で、昔のことを思い出しながら」といった形です。こうすることで、文全体の意味がより自然に伝わるでしょう。
まとめ
「女房の、中より、昔を思ひ出でて」の部分は、妻が心の中で過去を思い出すという意味です。直訳だけでなく、文脈に合わせた柔軟な解釈をすることが、十訓抄の理解に繋がります。また、「簾の中から」といった解釈は、文脈には合わないため避けた方が良いでしょう。文章全体の流れを踏まえた解釈が大切です。
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