対称群と行列の積に関する証明:任意の行列Aに対しA^k = Eが成り立つ理由

大学数学

この問題は、対称群Snに対する行列の性質とその逆行列について考えるものです。特に、任意のσ∈Snに対して、行列A=(e[σ(1)],…,e[σ(n)])がある自然数k≧1に対してA^k = E(単位行列)となることを示すことを求めています。

問題の設定とGの定義

まず、G = {(e[σ(1)],…,e[σ(n)]) | σ∈Sn} と定義します。ここで、Gの位数はSnの位数であり、Snの位数はn!であることが知られています。

次に、1 ≦ i < j ≦ n とすると、E(i,j) = (e1,…,ej,…,ei,…en) ∈ Sn となり、E(i,j)E(i,j) = E という性質が成り立ちます。この式はE(i,j)が逆行列であることを意味します。

行列AとE(i,j)の関係

行列A ∈ Gは、あるσ∈SnでA = (e[σ(1)],…,e[σ(n)])と表されます。もしσ(n) ≠ nであれば、あるi(1≦i

このようにして、AがE(i,j)の形の行列の有限個の積で表せることが示されます。

Gの部分群としての性質

次に、Gが一般線形群Gn(R)の部分群であることを示します。G ⊂ Gn(R)について、det A = sgn(σ) = ±1 ≠ 0 から、Gは行列式が±1の行列からなる群であることが分かります。

また、Gが積に関して閉じることを示すために、E(i,j)E(k,l) ∈ Gが成り立つことを示す必要がありますが、これは明らかです。

逆行列とA^k = Eの存在

行列A ∈ Gが逆行列を持つことについては、AがE(i,j)の形の行列の有限個の積で表され、E(i,j)の逆行列がE(i,j)であることから明らかです。

この結果により、GはGn(R)の有限部分群となり、任意のA ∈ Gに対してA^k = Eとなる自然数kが存在することが示されます。

矛盾による証明の完成

もしそのようなkが存在しないと仮定すると、任意の1 ≦ k < l に対してA^k ≠ A^lが成り立ちます。これは、写像N → G, k → A^kが単射であることを意味します。ここでGが有限集合であるため、この矛盾から、任意のA ∈ Gに対してA^k = Eとなるkが必ず存在することが示されます。

まとめ

今回の問題では、行列A = (e[σ(1)],…,e[σ(n)])がある自然数k≧1に対してA^k = Eとなることを示しました。具体的には、Gが一般線形群Gn(R)の部分群であり、積に関して閉じており、逆行列が存在することから、任意のA ∈ Gに対してA^k = Eとなるkが存在することが導かれました。

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