化学の問題に取り組む際、溶解度や飽和溶液の特性を理解することは非常に重要です。特に水に溶ける物質が加熱や冷却によりどのように変化するかを把握することは、物理化学や溶液化学において基本的な理解を深めるために欠かせません。この記事では、硫酸ナトリウム十水和物(Na2SO4・10H2O)の析出量を求める問題を解く方法を、実例を交えて解説します。
問題の概要
まず、問題文を整理します。20℃において、100gの水に無水硫酸ナトリウム 19.05g が溶けて飽和溶液を形成します。この飽和溶液100gを加熱し、42.2gの水が蒸発した後、ふたたび20℃に戻した状態で析出する硫酸ナトリウム十水和物の質量を求めるという内容です。
ステップ1:飽和溶液の初期状態
最初に、20℃における水に溶ける無水硫酸ナトリウムの量は19.05gです。この時点で、水に対する硫酸ナトリウムの溶解度はほぼ飽和となります。問題では、この飽和溶液100gを使うことになっています。したがって、100gの飽和溶液のうち、水の質量は計算で求めることができます。
水の質量 = 100g – 19.05g = 80.95g
ステップ2:水を蒸発させる
次に、42.2gの水を蒸発させることで、溶液の濃度が変わります。これにより、溶けている無水硫酸ナトリウムの一部が析出します。この時点では、蒸発した水によって溶液が濃縮されます。
蒸発後の水の質量は、80.95g – 42.2g = 38.75g です。この時点で溶けている硫酸ナトリウムの量は変わりませんが、溶液全体の質量が減少しています。
ステップ3:再度20℃での飽和溶液の形成
次に、蒸発後の溶液を20℃に戻すことで、溶解度が再び飽和状態に達します。再飽和により、新たに硫酸ナトリウムが水に溶け込みますが、この過程で析出する硫酸ナトリウム十水和物(Na2SO4・10H2O)の質量を求めます。
飽和溶液の状態において、溶けることのできる無水硫酸ナトリウムの量は19.05gです。しかし、蒸発後の残りの水は38.75gなので、再度飽和にするために加える必要がある無水硫酸ナトリウムの量を計算します。
ステップ4:析出量の計算
水が38.75gの状態で、19.05gの無水硫酸ナトリウムが溶けることがわかりますが、実際には蒸発した後に残った無水硫酸ナトリウムのうち、析出するのはその過剰分です。この過剰分が、最終的に硫酸ナトリウム十水和物として析出します。
析出する量は、最初の溶液から蒸発後の溶液に残る量を差し引いたものとなります。
まとめ
この問題では、飽和溶液の濃度変化とその後の再飽和の過程を通じて、析出する硫酸ナトリウム十水和物の質量を計算する方法を学びました。水の蒸発と溶解度の関係を理解することは、化学の問題を解く上で重要なスキルとなります。問題解決には、物質の溶解度曲線や化学反応の知識を活用することがポイントです。
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