コンクリート火災(火害)の被害等級と温度について

建築

コンクリート構造物における火災による被害等級の判定には、温度や時間の経過など、いくつかの要因が関係しています。特に、コンクリートの「浮き」や表層の剥離などの現象が発生する温度帯については、正確な理解が必要です。この記事では、コンクリート火災の被害等級に関する詳細な解説と、具体的な温度の目安についてご紹介します。

コンクリートの火災による被害等級とは

コンクリート構造物の火災による被害等級は、火災が発生した際の温度とその影響によって分類されます。被害等級は主に、コンクリート表面の変化や構造的な影響を基に評価されます。被害等級は以下のように分類されることが一般的です。

  • 被害等級Ⅰ:微細な変化や変形が見られる
  • 被害等級Ⅱ:目視で確認できる損傷が見られるが、構造的な問題はない
  • 被害等級Ⅲ:構造的な損傷が見られ、修復が必要
  • 被害等級Ⅳ:重大な損傷があり、構造が崩壊の危険性がある

このように、被害等級はコンクリート表面や内部の変化がどれほど進行しているかに基づいて評価され、火災の温度や時間の影響が直接関係します。

コンクリートの「浮き」が生じる温度

コンクリートに「浮き」が生じるのは、主に高温によってコンクリート内部の水分が蒸発し、膨張するためです。スラブ下面や梁下面に「浮き」が見られる場合、コンクリートが約200℃〜300℃程度に加熱されることが多いです。これにより、コンクリートの表面が膨張し、表面の一部が浮き上がることがあります。

具体的には、スラブや梁の構造物では、火災が長時間続くことで表面温度がこれらの温度帯に達し、コンクリートに変形や剥離を引き起こします。これは、コンクリートの内部の水分や結合剤が蒸発することによるものです。

被害等級ⅢおよびⅣの理由

①のスラブ下面における厚さ10mm程度の浮きは、一般的に火災による高温の影響で、コンクリートの内部が膨張し、表面が浮き上がる現象です。このような現象が見られる場合、被害等級はⅢからⅣに分類されることが多いです。これは、火災が一定の時間続くことによって、コンクリート表面の強度が低下し、構造的な損傷を引き起こす可能性があるためです。

②の梁下面の厚さ5mm程度の浮きは、比較的軽度の浮きですが、それでも火災の影響でコンクリートに変化が生じていることが示唆されています。この場合、被害等級Ⅳが推定されるのは、火災による表面損傷が顕著であり、補修が必要な状態にあると判断されるためです。

まとめ

コンクリートの火災による「浮き」は、温度が200℃〜300℃程度に達することで発生することが多いです。被害等級は、コンクリートの損傷の程度やその影響によって判断され、表面の変形や膨張が進行することで、より高い等級に分類されることがあります。コンクリート構造物の火災による損傷は、早期に評価し、適切な対応を行うことが重要です。

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