「もの」と「者」の正しい使い分けについて - 公用文における表記ルール

日本語における「もの（ひらがな）」と「者（漢字）」の使い分けは、特に公用文や公式文書において注意が必要です。今回は、これらの使い分けに関する具体的なルールと例を紹介し、正しい表記方法を解説します。

1. 「もの」と「者」の基本的な違い

まず、「もの」と「者」の違いを理解しておくことが重要です。「もの（ひらがな）」は、物理的な対象や抽象的な対象を指すことが多く、また人や人物を指す場合にも使われることがあります。一方、「者（漢字）」は人を指す言葉で、特にその人が何らかの特性を持つことを強調する場合に使われます。

例えば、「若者」「働く者」「立派な者」などは「者」を使用するケースです。一方、「物」や「事」などを指す際には「もの（ひらがな）」を使います。

文脈によって、どちらを使うかが決まります。質問文にある例、「対象者は、以前より、この土地で農業を営む『もの』であり…」の場合、「もの」を使うことで、対象者が具体的な人物を指すのではなく、農業に従事している一群の人々を広く指す意味合いになります。これは、「者」よりも一般的で抽象的な表現になります。

もし、個別の人間を特定して話しているのであれば、「者」の方が適切な場合が多いです。例えば、「対象者は、農業を営む者であり…」という表現がより具体的な人物を指し示すことになります。

公用文においては、一般的に「もの」は物事や抽象的な意味で使われることが多く、例えば「証明するもの」「確認するもの」「重要なもの」などの形で使用されます。対して、「者」は特に法律文書や公式文書で頻繁に登場します。「契約者」「受給者」「労働者」などがその一例です。

また、先に挙げた「18歳未満の者」や「若者」といった表現も、法的文脈で使われる「者」の例となります。公用文では「者」を使って人物を指し示すことが多く、公式な文書には適しています。

「もの」と「者」の使い分けは、文章の内容や文脈に応じて判断する必要があります。例えば、上記の質問文のように「農業を営む『もの』」という表現では、広く対象となる人々を指し、「もの」が適しています。しかし、「対象者は農業を営む者であり…」のように特定の人物群を指す場合、「者」の方が適切です。

文脈を理解し、適切な表現を選ぶことが大切です。公用文においても、言葉の選び方によって意味が大きく変わるため、正しい使い分けを意識しましょう。

「もの（ひらがな）」と「者（漢字）」の使い分けは、文脈に応じて適切に行う必要があります。一般的に、抽象的な意味や広く対象を指す際には「もの」を使用し、具体的な人物を指す場合には「者」を使用します。

公用文では、適切な表記を心がけ、文脈に応じた使い分けを意識することが重要です。日々の文書作成に役立つ知識として、正しい使い分けを習得しましょう。