群論では、ある演算が群の条件を満たすかどうかが重要です。乗法に関しては群を形成する場合が多いですが、加法については必ずしも群を形成するわけではありません。今回は、「乗法については群となるが、加法については群とならない集合」の例を紹介します。
群とは何か?
まず、群の定義を復習しましょう。群とは、集合とその上で定義された演算において、以下の条件を満たすものをいいます。
- 閉包性:演算を適用した結果が常にその集合に含まれる
- 単位元の存在:演算において変化しない元が存在する
- 逆元の存在:任意の元に対して逆の元が存在する
- 結合法則:演算が結合的である
これらの条件を満たす集合と演算の組み合わせを群と呼びます。
乗法が群になる例
実例として、実数の乗法を考えてみましょう。実数の集合R(0を除く)において、乗法は群を形成します。なぜなら、実数の乗法には単位元である「1」が存在し、逆元も存在するからです。
例えば、任意の実数aに対して、逆元a^-1(aの逆数)が存在し、a * a^-1 = 1となります。また、乗法は結合法則を満たし、閉包性も確保されています。よって、この場合、乗法は群を形成します。
加法が群にならない例
次に、加法に関して考えてみましょう。実数の加法は群を形成しません。なぜなら、加法においては逆元が存在しますが、必ずしも単位元が存在しないからです。例えば、加法において単位元は「0」です。しかし、0を除いた実数の集合では加法が群の条件を満たさない場合があります。
加法が群とならない場合の具体例
例えば、自然数の集合Nでは加法が群を形成しません。なぜなら、自然数には負の数が存在しないため、任意の自然数には逆元が存在しないからです。逆元が存在しないと、群の条件を満たすことはできません。
まとめ
乗法については、実数のように群を形成する場合がありますが、加法に関しては逆元の存在が重要であり、すべての集合において群を形成するわけではありません。加法が群とならない具体例として、自然数の加法を挙げることができます。群を理解するためには、演算と集合の関係をしっかりと把握することが大切です。
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