「√2が無理数である証明」でよく使われる方法として、√2を有理数であると仮定し、その結果として矛盾を導くという手法があります。この証明は、最終的に「a/bが互いに素である」という前提と矛盾することを示すものですが、質問者は「a/bが互いに素でなくても、√2が無理数である証明にはならないのでは?」と疑問に思っています。今回はその点について詳しく説明します。
1. 「有理数として仮定する」という前提
まず、√2が無理数であることを証明するためには、√2を有理数であると仮定します。すなわち、√2 = a/b(aとbは互いに素な整数)と仮定し、矛盾を導くわけです。この場合、a/bが最も簡単な形である必要があり、aとbが互いに素であるという条件がつきます。
もし仮にaとbが互いに素でない場合、例えばa/bが2/2のような形だとすると、√2が1になることになります。しかし、これは明らかに間違いであり、√2 ≠ 1 です。このように仮定の段階での間違いが証明を無効にするため、aとbは互いに素でなければならないという前提が重要です。
2. 「互いに素」の意味とその重要性
整数aとbが「互いに素である」ということは、aとbが共通の約数を持たないことを意味します。もしaとbが互いに素でない場合、仮定の時点でその証明が成り立たなくなります。例えば、a=2、b=2のように、共通の約数が2であれば、a/bが最も簡単な形ではなくなります。これでは、√2を有理数として扱うことができません。
そのため、互いに素でない場合に「√2が有理数である」として仮定することは成り立たないため、証明において矛盾を生じます。これが証明方法の根本的な部分です。
3. √2が無理数である証明の流れ
√2が無理数である証明の流れは、次のように進みます。
- 最初に「√2は有理数である」と仮定し、√2 = a/b(aとbが互いに素な整数)と書きます。
- 両辺を2乗し、2 = a^2 / b^2 とします。
- これを変形すると、a^2 = 2b^2 という式が得られます。
- a^2が偶数であるため、aも偶数であることが分かります。
- aを2k(kは整数)と置き、式に代入すると、bも偶数であることが分かります。
- しかし、aとbが互いに素であると仮定しているため、aとbの両方が偶数であるのは矛盾しています。
- この矛盾から、最初の仮定「√2は有理数である」が誤りであると結論できます。
4. 結論とその重要性
以上のように、「a/bが互いに素である」という前提が崩れることで、最初の仮定が誤りであることが証明されます。もしaとbが互いに素でなかった場合、証明の過程で明らかに矛盾が生じるため、√2が無理数であるという証明が成り立つのです。
したがって、仮定の段階で「aとbは互いに素でなければならない」という条件は非常に重要であり、これを無視することは証明を無効にしてしまいます。
5. まとめ
√2が無理数である証明は、「√2を有理数であると仮定し、矛盾を導く」という方法です。この証明の中で、「a/bが互いに素である」という前提が重要であり、これを守ることで初めて矛盾が導かれ、証明が完成します。仮にaとbが互いに素でない場合、証明は成り立ちませんが、その場合は初めから証明が無効になります。
このように、数学的な証明においては細かい条件を正確に守ることが非常に重要であり、それが無理数の証明の成否を決定します。
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