熱力学における圧縮機の動作とエネルギーバランスを理解するためには、圧縮機のエネルギー効率や熱量の移動について計算することが必要です。この記事では、与えられた条件に基づいて圧縮機から失われる熱量を計算する方法を解説します。
問題の設定と必要なデータ
まず、与えられたデータを整理しましょう。
- 冷媒のエンタルピー: 1600 [kJ/kg]
- 吸入管のアンモニアのエンタルピー: 1500 [kJ/kg]
- 冷媒の流量: 1 [kg/min]
- 圧縮機の動力: 6.8 [kW]
これらのデータから、圧縮機の熱量バランスを計算します。具体的には、冷媒が圧縮機内でどれだけエネルギーを受け取り、どれだけのエネルギーが外部に失われているかを求めます。
圧縮機のエネルギー収支
圧縮機内でのエネルギー収支は、次のように整理できます。
まず、冷媒が圧縮されることにより、エンタルピーが変化します。冷媒のエンタルピー変化は、エンタルピーの差として計算できます。
エンタルピーの差: 1600 [kJ/kg] – 1500 [kJ/kg] = 100 [kJ/kg]
次に、このエンタルピーの差を冷媒の流量に掛け算します。流量は1 [kg/min]なので、1分間に必要なエネルギーは次のように計算できます。
エネルギー量 = 100 [kJ/kg] × 1 [kg/min] = 100 [kJ/min]
次に、このエネルギー量を1秒あたりのエネルギーに換算します。
エネルギー量(kJ/s) = 100 [kJ/min] ÷ 60 = 1.67 [kJ/s] = 1.67 [kW]
ウォータージャケットから失われる熱量の計算
圧縮機の動力は6.8 [kW]であり、この動力の一部が熱として周囲に失われます。圧縮機におけるエネルギーの総消費量は、機械的なエネルギーと熱エネルギーに分かれます。
機械的なエネルギー(出力)は、圧縮機が行う仕事量であり、1.67 [kW]です。このエネルギーが全て機械的な仕事に変換されるわけではなく、一部は熱エネルギーとして外部に失われます。
したがって、ウォータージャケットを通じて失われる熱量は、圧縮機が消費する総エネルギー(6.8 [kW])から機械的なエネルギー(1.67 [kW])を差し引いたものです。
失われる熱量 = 6.8 [kW] – 1.67 [kW] = 5.13 [kW]
まとめ
この計算から、圧縮機のウォータージャケットなどから失われる熱量は5.13 [kW]であることがわかります。圧縮機のエネルギー収支を理解することは、効率的な冷却システムの設計やエネルギー管理において重要な要素となります。
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