電磁気学の問題において、特定の条件(例えば、r >> l)が成立する場合、式を簡略化したり近似したりすることがあります。この記事では、与えられた式の変形方法について解説し、なぜr >> lの場合に特定の項がキャンセルされるのか、その理由を詳しく説明します。
問題の式とその背景
与えられた式は、2つの電荷が距離2lだけ離れた位置にあり、ABの中点Oからθの角度でrだけ離れた点での電位と電界を求めるものです。この式は、次のように表されます。
q / 4πεr {1 / √(r^2 + l^2 – 2rl cosθ) – 1 / √(r^2 + l^2 + 2rl cosθ)}
ここで、rはO点からの距離、lはABの半分の距離、θは角度です。この式をr >> lの場合に近似する方法について考えます。
r >> lの近似
r >> lの条件は、O点がABの中点から十分に遠く、rがlに比べて大きい場合に成立します。この条件下では、いくつかの項を近似することができます。
具体的には、式の中でrとlが含まれる項を展開して、r >> lの場合に重要でない項を省略することが可能です。これによって、複雑な式が簡単な形に変形されます。
分母の展開と簡略化
まず、分母に含まれる√(r^2 + l^2 – 2rl cosθ)と√(r^2 + l^2 + 2rl cosθ)を展開します。rがlより大きいので、l^2はr^2に比べて非常に小さいと考え、次のように近似できます。
√(r^2 + l^2 ± 2rl cosθ) ≈ r ± l cosθ
この近似を元に、元の式を次のように簡略化できます。
q / 4πεr {1 / (r + l cosθ) – 1 / (r – l cosθ)}
近似後の式とその理由
この式を更に簡単化すると、次のように展開されます。
q / 4πεr {(1 + l/r cosθ + …) – (1 – l/r cosθ + …)}
ここで、r >> lの条件の下では、l/rは非常に小さいため、余分な項を省略することができます。これにより、式が簡略化され、近似式が得られます。
まとめ
r >> lの条件下で、与えられた式がどのように近似されるかを確認しました。具体的には、分母の項を展開し、小さな項を省略することで、複雑な式を簡単な近似式に変形することができます。これは、物理的な問題において非常に有用な手法であり、特に計算を簡素化する際に役立ちます。
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