Cu基板上にPtを成膜した際のXRD解析で現れる異常なピークの原因と考察

化学

Cu基板上にPtを成膜したサンプルをXRDで解析した際に、得られた全ての銅のピークの後ろに弱い丸みを帯びたピークが現れることがあります。この現象が何を意味しているのか、その原因と考えられる要因について解説します。

XRD解析における異常なピークとは?

XRD(X線回折)は、物質の結晶構造や相を調べるために非常に有効な手法です。しかし、XRDデータで予期しないピークが現れることがあります。この場合、ピークが銅のピークの後ろに現れ、約1°ほど低角に位置しているという特徴が挙げられます。

通常、銅のピークは銅基板に特有のものですが、この弱い丸みを帯びたピークが現れることは異常と感じられるかもしれません。これがどのような原因で発生しているのかを探るためには、いくつかの要因を考慮する必要があります。

考えられる原因1: 銅酸化物の生成

最初に考えられるのは、銅が酸化して銅酸化物が形成されている可能性です。Cu基板上にPtを成膜すると、真空状態や高温での反応が進行し、酸化銅(CuOやCu2O)が生成されることがあります。酸化銅は銅のXRDピークに近い位置に現れるため、この異常なピークは酸化銅に起因する可能性があります。

しかし、質問者が述べたように、銅基板のみのXRDではそのピークは現れなかったということから、この原因の可能性は低いかもしれません。酸化銅の生成を確認するためには、酸化銅特有のXRDピークを確認することが重要です。

考えられる原因2: PtとCuの相互作用

Pt(白金)とCu(銅)の間で相互作用が起きる場合も考えられます。Ptの成膜によって、銅と白金が相互に影響を与え、特定の結晶構造を持つ化合物が形成されることがあります。これらの新たな相は、通常の銅のピークとは異なる位置に現れる可能性があります。

特に、PtがCu基板上で異常な結晶構造を形成すると、銅のXRDピークの後ろに異常なピークが現れることがあります。この場合、そのピークはPtとCuの複合相に由来することが考えられます。

考えられる原因3: XRD装置のKβ線

XRD測定で得られるピークがKβ線によるものである場合もあります。Kβ線は、X線源から放出されるX線の一部で、通常は鋭いピークとして現れることがあります。これが銅のピークに近い位置に現れることがあり、誤解を招くことがあります。

Kβ線によるピークを確認するためには、XRD装置の校正や測定条件を見直し、Kβ線が原因でないことを確認することが重要です。

考えられる原因4: 基板と成膜層の応力

基板温度700℃でPtを成膜した場合、基板と成膜層間に応力が生じることがあります。応力によって、結晶格子が歪んだり、反射角がわずかにシフトしたりすることがあります。これがXRDピークに影響を与え、銅のピークの後ろに異常なピークが現れる原因となることがあります。

この場合、ピークの位置のずれは、成膜による構造的変化を示唆している可能性があり、応力測定や成膜過程の見直しが必要です。

まとめ

銅基板上にPtを成膜した際に、銅のXRDピークの後ろに現れる異常なピークの原因は、いくつかの要因が考えられます。最も可能性が高いのは、PtとCuの相互作用や、基板と成膜層の応力による影響です。酸化銅の生成やXRD装置のKβ線も考慮する必要がありますが、これらの要因を一つずつ確認し、最も適切な解釈を行うことが重要です。

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