化学の滴定問題では、標準液と試料溶液を使用して成分の定量を行います。ここでは、過マンガン酸カリウムを用いてしゅう酸を滴定する方法と、その計算手順について説明します。
滴定における過マンガン酸カリウムの役割
過マンガン酸カリウム(KMnO₄)は、酸化剤として使用される物質で、しゅう酸と反応して酸化されます。滴定では、試料溶液中のしゅう酸を過マンガン酸カリウムで酸化し、反応の終了点を検出します。この反応を利用して、試料中のしゅう酸の量を求めることができます。
過マンガン酸カリウムは、反応が完了するまで色が変化しないため、視覚的に終了点を把握することができます。
必要なデータと前提条件
この問題を解くためには、以下のデータが与えられています。
- 過マンガン酸カリウム標準液のモル濃度:0.02 mol/L
- 試料溶液(しゅう酸溶液)の体積:20 mL
- 滴定に使用した過マンガン酸カリウムの体積:5 mL
- 空試験での使用量:0.1 mL
- しゅう酸の式量:90.036 g/mol
これらの情報を基にして、しゅう酸の質量を求めるための計算を進めます。
計算手順
まず、滴定で使用した過マンガン酸カリウムの体積から、消費したモル数を計算します。
過マンガン酸カリウムのモル数は、次の式で求められます。
消費したモル数 = 濃度 × 滴定に使った体積(L)
ここで、滴定に使用した体積は5 mL – 0.1 mL(空試験分)です。したがって、実際に消費した過マンガン酸カリウムのモル数は次のようになります。
消費したモル数 = 0.02 mol/L × (5 - 0.1) mL × (1 L / 1000 mL) = 0.02 × 4.9 / 1000 = 9.8 × 10⁻⁵ mol
過マンガン酸カリウムとしゅう酸のモル比
次に、過マンガン酸カリウムとしゅう酸の反応式を基にモル比を考慮します。
過マンガン酸カリウムとしゅう酸は1:5のモル比で反応します。これにより、しゅう酸のモル数を求めることができます。
しゅう酸のモル数 = 過マンガン酸カリウムのモル数 × 5
したがって、しゅう酸のモル数は次のように計算されます。
しゅう酸のモル数 = 9.8 × 10⁻⁵ mol × 5 = 4.9 × 10⁻⁴ mol
しゅう酸の質量の計算
最後に、しゅう酸のモル数から質量を求めます。しゅう酸のモル質量は90.036 g/molなので、質量は次の式で求められます。
しゅう酸の質量 = しゅう酸のモル数 × しゅう酸のモル質量
この式に数値を代入すると、しゅう酸の質量は。
しゅう酸の質量 = 4.9 × 10⁻⁴ mol × 90.036 g/mol = 0.0441 g
したがって、20 mLのしゅう酸溶液中に含まれるしゅう酸の質量は0.0441 g、すなわち44.1 mgです。
まとめ
過マンガン酸カリウムを用いた滴定でしゅう酸の量を求めるには、標準液の濃度、滴定に使用した体積、空試験分を考慮した計算が必要です。具体的な手順としては、まず過マンガン酸カリウムのモル数を計算し、反応式からしゅう酸のモル数を求め、その後モル質量を使って質量を計算します。この方法を理解すれば、他の滴定問題にも応用できます。
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