大学受験化学基礎において、「−20度の冷蔵庫内で氷が小さくなった原因は昇華である」という文言を目にすることがあります。この現象がどうして融解を経ずに昇華が起こるのか、特に「氷は0度で水に、水は100度で水蒸気になる」という基本的な知識に照らして疑問を抱く方も多いでしょう。この記事では、氷がどのようにして0度以下の温度で水蒸気に変わるのか、昇華のメカニズムについて解説します。
昇華とは何か?
昇華とは、物質が固体から液体を経由せずに直接気体に変化する現象です。通常、物質は固体から液体、液体から気体という順に変化しますが、昇華はその過程を飛ばして直接固体から気体に移行します。代表的な昇華現象としては、氷やドライアイス(固体二酸化炭素)の昇華が挙げられます。
昇華は、気温や気圧が一定の条件を満たすときに起こり、通常は低温・低圧の状態で見られます。これにより、固体の氷が溶けることなく、直接水蒸気に変わることが可能となるのです。
氷が−20度で昇華するメカニズム
氷が−20度の環境で昇華する理由は、氷の表面における蒸発圧が関係しています。蒸発圧とは、液体が気体に変わろうとする圧力のことです。0度以上では氷が溶けますが、−20度のような低温では、氷の表面で水分子が気体となり、周囲の空気中に放出されます。
氷は固体でありながら、すでにその表面では分子が一定のエネルギーを持っており、蒸発しやすくなっています。これは氷の分子が完全に静止しているわけではなく、一定の運動エネルギーを持ち続けているからです。そのため、−20度という低温でも、氷の一部は液体に戻ることなく、気体(水蒸気)として放出されます。
昇華と融解の違い
昇華と融解は異なる現象です。融解は固体が液体に変わる過程で、温度が0度(氷の融点)以上になると氷は水に変わります。一方、昇華は固体が液体を経由せずに直接気体になる現象です。氷が−20度で水蒸気に変わる理由は、氷の表面で水分子が気体として飛び出すためです。
つまり、−20度の温度では氷は溶けることなく、水蒸気に変わることができるため、氷の量が減っていきます。これは、融解とは異なり、氷が直接気体へと移行するからです。
実生活で見られる昇華現象
実生活の中でも昇華現象はよく見られます。例えば、冬の寒い日に氷が溶けることなく減っていく現象や、ドライアイス(固体二酸化炭素)を使った実験で見られることがあります。ドライアイスは常温で二酸化炭素の気体に直接変わるため、氷が昇華する現象を身近に感じることができます。
このような昇華現象は、低温・低圧環境において、物質が液体を経由せずに直接気体に変わるメカニズムとして理解されます。
まとめ
氷が−20度の冷蔵庫内で昇華する理由は、氷の表面で水分子が気体(水蒸気)として放出されるためです。融解を経ずに昇華が起こるのは、氷の分子が一定のエネルギーを持ち、低温でも昇華圧が発生するためです。これにより、氷は液体になることなく直接気体に変わり、結果的に氷が小さくなる現象が見られます。昇華は、物質が固体から直接気体に変わる自然現象であり、気温や気圧が特定の条件を満たすときに起こります。
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