イタリア政治の近年の動向は、ポピュリズムの台頭と新たな政治形態の出現が注目されています。特に、ジュリアーノ・ダ・エンポリ著『ポピュリズムの仕掛人』において、イタリアの政治変革の核心が描かれています。本記事では、同著書に登場する主要な政治勢力とその影響力について詳しく解説します。
同盟(Lega)とは?
同盟は、イタリアの右派ポピュリスト政党であり、マッテオ・サルヴィーニが党首を務めています。元々は北部同盟(Lega Nord)として知られ、北部イタリアの分離主義を掲げていましたが、サルヴィーニの指導の下、全国規模の右派ポピュリズム政党へと変貌しました。反移民、反EU、ナショナリズムを強調し、特に南部への移民流入に対する懸念を政治的資本として活用しています。
マッテオ・サルヴィーニの政治的影響力
マッテオ・サルヴィーニは、同盟を率いる政治家であり、イタリアの政治において重要な役割を果たしています。彼は、移民制限、EU懐疑主義、ナショナリズムを前面に押し出し、支持を拡大しました。2018年の総選挙では、同盟は大きな躍進を遂げ、サルヴィーニは副首相として政権に参加しました。彼の強硬な移民政策と反EUスタンスは、国内外で注目を集めています。
五つ星運動(Movimento 5 Stelle)とは?
五つ星運動は、イタリアのポピュリスト政党であり、ベッペ・グリッロによって創設されました。反体制、反権力、反腐敗を掲げ、インターネットを活用した直接民主主義を提唱しています。2018年の総選挙では、同盟と並ぶ主要政党となり、ジュゼッペ・コンテを首相に擁立しました。しかし、経済政策の実現困難や党内の対立から、支持率は低下傾向にあります。
同盟と五つ星運動の連立とその影響
2018年、同盟と五つ星運動は連立政権を樹立しました。両党は、移民制限、経済改革、EU懐疑主義などで共通の政策を掲げましたが、政策の実現には課題が多く、特に五つ星運動の経済政策は実行困難とされました。結果として、同盟の影響力が増し、サルヴィーニの政治的地位は強化されました。
「真の文化的ヘゲモニー」の確立
ジュリアーノ・ダ・エンポリは、同盟と五つ星運動の連携によって、イタリアにおける「真の文化的ヘゲモニー」が確立されたと述べています。これは、伝統的な左派・右派の枠組みを超えたポピュリズムの融合によって、政治的・文化的な支配構造が変化したことを意味します。サルヴィーニの台頭は、この新たな政治的潮流の象徴とされています。
まとめ
イタリアの政治は、同盟と五つ星運動の台頭によって大きく変貌しました。サルヴィーニの指導の下、同盟は右派ポピュリズムの代表的な政党としての地位を確立し、五つ星運動との連携を通じて、イタリアにおける文化的ヘゲモニーを築き上げました。これらの動向は、イタリアのみならず、欧州全体の政治風景にも影響を与えています。
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