化学の実験でよく遭遇する中和反応の一つに、Ca(OH)2またはNaOHが入った溶液に希硫酸を加えた場合の反応があります。この場合、白色の沈殿が生じることがありますが、なぜCa(OH)2が関与しているのか、またNaOHが関与した場合の反応について解説します。
中和反応とは?
中和反応とは、酸とアルカリが反応して塩と水を生成する化学反応です。例えば、NaOH(苛性ソーダ)とHCl(塩酸)の反応では、NaCl(塩化ナトリウム)と水が生成されます。Ca(OH)2(消石灰)と希硫酸の反応も同じ原理に基づき、カルシウム硫酸塩(CaSO4)と水を生成します。
Ca(OH)2と希硫酸の反応
Ca(OH)2が希硫酸と反応すると、以下の化学反応が進行します。
Ca(OH)2 + H2SO4 → CaSO4 + 2H2O
この反応の特徴は、生成されるCaSO4(硫酸カルシウム)が水に溶けにくいため、白色の沈殿として見られることです。したがって、白色沈殿が生じた場合、この反応に関与しているのはCa(OH)2だと言えます。
NaOHと希硫酸の反応
NaOHが希硫酸と反応する場合、生成されるのは塩であるNa2SO4(硫酸ナトリウム)と水です。
2NaOH + H2SO4 → Na2SO4 + 2H2O
Na2SO4は水に溶けやすく、沈殿を形成しないため、この反応で白色沈殿は見られません。したがって、NaOHが関与している場合は沈殿が生じないのが特徴です。
なぜCa(OH)2が選ばれたのか?
質問の中で、Ca(OH)2が入った溶液で白色沈殿が生じた理由は、Ca(OH)2が反応によって難溶性のCaSO4を生成したためです。NaOHの場合、生成される塩は水に溶けやすいため沈殿が生じません。このため、白色沈殿が見られた場合は、Ca(OH)2が原因であると考えられます。
まとめ
中和反応において、Ca(OH)2と希硫酸の反応で白色の沈殿が生じる理由は、生成されるCaSO4が水に溶けにくいためです。一方で、NaOHの場合は生成物が水に溶けやすく、沈殿を生じません。化学反応の詳細を理解することで、どの化学物質が反応に関与しているのかを明確に特定することができます。
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