「宇宙の物質は全体の5%しか分かっていない」という話を聞いたことがあるかもしれません。この数字がどのようにして導かれたのか、そしてなぜ宇宙の全体が見えていないのに「5%」という具体的な数字が分かるのか、という疑問について解説します。
宇宙の物質とは?
まず、宇宙の物質とは、私たちが見たり感じたりできる物質、すなわち星や惑星、ガス、塵などの物質を指します。これらは「通常の物質」と呼ばれ、私たちが知っている「普通の物質」に当たります。しかし、実際にはこの物質は宇宙全体のわずかな部分にすぎません。
宇宙全体には、通常の物質のほかに「ダークマター(暗黒物質)」や「ダークエネルギー」が存在すると考えられています。これらは直接的に見ることはできませんが、その影響は観測から明らかになっています。
なぜ5%と分かるのか?
では、どうして「5%」という数字が出てくるのでしょうか?それは、宇宙の物質を構成する成分を計算する方法にあります。まず、天文学者たちは、星や銀河の運動、光の観測、そして重力の影響などを基にして、宇宙全体の質量を推定しています。
この計算によると、私たちが観測できる物質、つまり「通常の物質」は宇宙全体の質量のほんの5%しか占めていないことが分かっています。残りの95%は、私たちの観測手段では直接見ることができないダークマターとダークエネルギーで構成されています。
ダークマターとダークエネルギー
ダークマターは、星や銀河に見られる物質のように、重力を通じてその存在が確認されていますが、光を発することがないため、直接見ることはできません。そのため、観測するには重力や他の影響を通じて間接的にその存在を確認します。
一方、ダークエネルギーは、宇宙の膨張を加速させる原因とされています。これも直接的には見ることができませんが、膨張速度からその存在が確認されています。ダークエネルギーは、宇宙全体の約68%を占めるとされており、これも「見えない物質」として宇宙の大部分を構成しています。
どうして全体が分からないのか?
私たちが「全体」を把握するためには、物質がどのように分布しているか、どんな成分があるのかを詳細に理解する必要があります。しかし、ダークマターやダークエネルギーは、直接観測することができないため、その性質や分布について完全には解明されていません。
また、宇宙の大部分は観測可能な範囲を超えて広がっており、現在の技術ではその全貌を把握することは非常に難しいのです。これらの未解明の部分を含めて、「宇宙の物質の95%は分かっていない」というわけです。
まとめ
「宇宙の物質は全体の5%しか分かっていない」という数字は、私たちが観測可能な物質の割合を示しています。残りの95%は、ダークマターやダークエネルギーと呼ばれ、私たちの現在の観測手段では直接見ることができません。これらの未知の成分を理解するためには、今後の技術革新とさらなる観測が必要となります。
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