複素数の指数関数の一次独立性を証明する問題は、線形代数や複素解析の基礎的な問題の一つです。具体的には、{1, e^z, e^2z, …, e^nz, …} の集合から選ばれたk個の元が一次独立であることを示すための帰納法を使った証明について解説します。この記事では、この問題の解法を順を追って説明します。
問題の概要と一次独立性の定義
まず、一次独立性の定義を復習します。複素数のベクトル(または関数)c_1 * e^(n_1 * z) + c_2 * e^(n_2 * z) + … + c_k * e^(n_k * z) = 0 が恒等的にゼロになる場合、係数 c_1, c_2, …, c_k が全てゼロでなければならなければ、この関数群は一次独立であると言います。
この問題では、z が複素数であり、e^z のような指数関数の集合の一次独立性を示すことが求められています。具体的には、z に関する指数関数の線形結合が恒等的に0になるとき、その結合の係数が全て0でなければならないことを証明するのです。
帰納法による証明のステップ
この問題では、帰納法を使って一次独立性を証明します。帰納法の基本的な流れは以下の通りです。
- k = 1 の場合、明らかに成り立つ。
- k = n の場合が成り立つと仮定して、k = n + 1 の場合についても成り立つことを示す。
まず、k = 1 の場合は自明です。次に、k = n の場合を仮定し、それに基づいてk = n + 1のケースを示すことにします。
微分を使った証明の手順
帰納法のステップで重要なのは、与えられた式を微分して、z = 0 における各係数がどのように消えていくかを確認することです。具体的には、k個の項の線形結合が恒等的に0であるならば、0回からk回まで微分を行い、z = 0 を代入して各係数が消えることを示します。
例えば、次のような微分を行います。
- 0回微分: c_1 + c_2 + … + c_k = 0
- 1回微分: c_1 * n_1 + c_2 * n_2 + … + c_k * n_k = 0
- k-1回微分: c_1 * (n_1)^(k-1) + … + c_k * (n_k)^(k-1) = 0
これらの微分結果をまとめて行列にして、最終的にk次正方行列を得ることができます。この行列が逆行列を持たない場合、係数c_1, c_2, …, c_kが全て0であることを示すことができます。
行列の逆行列を用いた最終的な証明
最終的に得られたk次正方行列は、各c_iの係数が互いに線形独立であることを示すために使用されます。行列が非特異(逆行列を持つ)であるならば、c_1, c_2, …, c_kがすべて0であることが結論として得られます。この結果によって、e^z, e^2z, …, e^nzが一次独立であることが示されます。
まとめ
この問題では、複素数の指数関数の一次独立性を帰納法を使って証明しました。帰納法を用いることで、k = 1 の場合からk = n + 1の一般的な場合へと段階的に証明を進めることができました。微分を使って、関数群の線形結合が恒等的にゼロになる条件を導き、最終的に係数が全てゼロであることを示すことができました。この証明方法を理解することで、複素関数の一次独立性を扱う問題に自信を持って取り組めるようになります。
コメント