技能検定1級のめっきに関する計算問題に取り組んでいる中で、特に計算方法が難しいと感じることがあるかもしれません。この記事では、2つの例題を通じて、具体的な計算方法を解説します。
例題①:シアン化銅めっき液の補給量
この問題では、シアン化銅めっき液の分析結果からシアン化銅を補給するために必要なシアン化ナトリウムの量を計算します。まず、問題文から与えられたデータを整理しましょう。
容量1000Lのシアン化銅めっき液において、シアン化銅が10g/L、遊離シアン化ナトリウムが3g/L不足しています。シアン化銅を10kg補給する場合、シアン化ナトリウムは何kg補給する必要があるかを求めます。シアン化銅とシアン化ナトリウムのモル比を基に計算することで、シアン化ナトリウムの補給量がわかります。
まず、シアン化銅のモル質量を求めます。銅(Cu)の原子量は64、炭素(C)は12、窒素(N)は14です。シアン化銅(CuCN)のモル質量は、64 + 12 + 14 = 90 g/molです。
次に、シアン化銅の必要なモル数を計算します。10kg(10,000g)のシアン化銅を補給する場合、モル数は10,000g ÷ 90g/mol = 111.1 molです。
シアン化ナトリウム(NaCN)のモル質量は23 + 12 + 14 = 49g/molです。シアン化銅とシアン化ナトリウムのモル比は1:1ですので、シアン化ナトリウムの必要なモル数も111.1 molです。
シアン化ナトリウムの質量は、111.1 mol × 49g/mol = 5444.9g、つまり5.44kgです。しかし、問題文では「遊離シアン化ナトリウムが3g/L不足していた」とあるので、最初に不足している3g/Lの量を補うために3g × 1000L = 3000g、つまり3kgを追加する必要があります。
最終的に、シアン化ナトリウムの補給量は5.44kg + 3kg = 8.44kgとなります。これにより、シアン化ナトリウムの補給量が計算できました。
例題②:めっき用ラックの必要断面積
この問題では、めっき有効面積1dm²の品物10個をひっかけに取り付けて行うニッケル-クロムめっきに必要なラックの銅材主骨の最小断面積を求めます。
ニッケルめっきの電流密度は5A/dm²、クロムめっきは15A/dm²です。また、銅を主骨として用いた場合、ニッケルめっきの許容電流密度は5A/mm²、クロムめっきの許容電流密度は10A/mm²です。
まず、ニッケルめっきとクロムめっきで必要な電流を計算します。めっき有効面積は1dm²で、品物が10個あるので、10dm²の面積に対して電流を流すことになります。
ニッケルめっきに必要な電流は、5A/dm² × 10dm² = 50A、クロムめっきに必要な電流は、15A/dm² × 10dm² = 150Aです。
次に、銅材主骨の最小断面積を求めます。ニッケルめっき用の銅の許容電流密度は5A/mm²なので、必要な電流50Aに対して必要な断面積は、50A ÷ 5A/mm² = 10mm²です。クロムめっき用の銅の許容電流密度は10A/mm²なので、必要な電流150Aに対して必要な断面積は、150A ÷ 10A/mm² = 15mm²です。
したがって、ラックの銅材主骨の最小断面積は、最も高い値である15mm²です。
まとめ
今回の2つの問題を通じて、技能検定1級のめっきに関する計算問題の解法を学びました。シアン化銅めっき液の補給量を計算する問題では、モル比を基にした計算方法を使いました。ラックの断面積に関する問題では、電流密度を元に必要な断面積を求めました。
これらの計算方法を理解することは、技能検定1級に向けた準備において非常に重要です。問題を解く際は、与えられた情報を整理し、必要な計算手順を踏んで解答することが求められます。
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