2025年6月5日、日本の民間企業ispaceが開発した月面着陸機「Resilience」が月面着陸に失敗しました。これは2023年の初回ミッションに続く2度目の失敗であり、同社の技術的な課題と月面着陸の難しさを浮き彫りにしています。
1. ミッションの概要と目的
「Resilience」は、2025年1月15日にSpaceXのファルコン9ロケットで打ち上げられ、約5ヶ月の飛行を経て月面に到達しました。着陸地点として「冷海(Mare Frigoris)」が選ばれ、同社が開発した小型月面探査車「Tenacious」を搭載していました。
2. 失敗の原因と技術的課題
着陸直前の通信途絶が確認され、ミッションは失敗と判断されました。初期の分析では、レーザー高度計の不具合が原因とされています。具体的には、着陸機がクレーターの縁を通過した際に高度計の測定値が急激に変動し、これをソフトウェアがセンサーの異常と誤認してデータを無視しました。その結果、実際の高度が5kmであったにもかかわらず、推定値がゼロとなり、減速が不十分なまま着陸機は月面に衝突したと考えられています。
3. 前回ミッションとの比較と教訓
2023年の初回ミッションでも、同様の高度計の誤動作が原因で着陸に失敗しました。今回はソフトウェアのアップデートが行われましたが、依然として同様の問題が発生しました。これにより、センサーの信頼性とソフトウェアの判断能力の重要性が再認識されました。
4. 今後の展望とispaceの対応
ispaceは、2027年にNASAとの共同ミッションを予定しており、今後の月面着陸技術の向上が求められます。CEOの袴田武史氏は、「今回の失敗を真摯に受け止め、次回に向けての改善を進める」と述べています。また、同社は冷海地域の月面資源開発を目指しており、失敗から得た教訓を活かして技術の向上に努める方針です。
5. まとめ
日本の民間企業による月面着陸は、技術的な挑戦と多くの課題を伴います。今回の失敗は、月面探査における精密なセンサー技術とソフトウェアの重要性を再確認させるものであり、今後のミッションに向けての改善と技術革新が期待されます。
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