線形代数を学んでいるときに、簡約階段行列と階段行列の違いが混乱することがあります。この2つの行列の概念は密接に関連していますが、重要な違いがあります。この記事では、これらの行列の違いをわかりやすく解説します。
1. 階段行列とは?
階段行列(または階段型行列)は、行列の各行において最初に非ゼロの要素(ピボット)が右に進んでいくという特徴を持ちます。一般的に、行列の左上から右下に向かってゼロが並んでいきます。
階段行列の特徴的な点は、以下の通りです。
- 最初の非ゼロ要素は、各行ごとに右に進みます。
- すべてのゼロ行は行列の最下部に配置されます。
- 各行における最初の非ゼロ要素(ピボット)の位置は、その行より上の行のピボットの位置より右に配置されます。
2. 簡約階段行列とは?
簡約階段行列(または行基本形)は、階段行列にさらに条件を加えたものです。簡約階段行列では、階段行列の基本的な性質に加え、次の条件が追加されます。
- 各行のピボットは1に規格化されます。
- ピボットがある列のそれ以外の要素はすべてゼロになります(上の行も含めて)。
簡約階段行列は、行列の解を求める際に非常に有用であり、連立方程式の解法においてよく使われます。特に、ガウス・ジョルダン法を使用して求めることができます。
3. 階段行列と簡約階段行列の違い
簡約階段行列と階段行列の主な違いは、ピボットの規格化とゼロの配置方法です。簡約階段行列では、ピボットが1に規格化され、ピボット以外の要素はゼロにする必要がありますが、階段行列にはそのような厳密な条件はありません。
具体的には、階段行列は単にピボットの位置が右に進んでいくことを要求しますが、簡約階段行列では、ピボットを1にし、他の要素をゼロにするという追加の条件があります。
4. 実際の例で理解しよう
例えば、次の行列を考えます。
1 2 3
0 4 5
0 0 6
この行列は階段行列ですが、簡約階段行列ではありません。簡約階段行列にするには、次の操作が必要です。
1 0 0
0 1 0
0 0 1
このように、簡約階段行列では、各行のピボットが1に規格化され、他の要素がゼロにされています。
5. まとめ
簡約階段行列と階段行列の違いは、主にピボットの規格化とゼロの配置方法にあります。簡約階段行列は、ピボットが1であり、他の要素がゼロであることが要求されるため、より厳密な条件を満たしています。一方、階段行列は、ピボットが右に進むだけで、規格化やゼロの配置は必須ではありません。
コメント