なぜ2物体の衝突における反発係数は0≦e≦1なのか?その理由を物理的に解説

物理学

物体が衝突する際に重要となるのが反発係数(e)です。反発係数は、物体同士の衝突後の速度の変化と衝突前の速度の関係を示す値で、0≦e≦1の範囲であることが物理的に示されています。今回は、この反発係数がなぜその範囲に収束するのか、そして運動エネルギーとの関係について詳しく解説します。

反発係数の定義とその役割

反発係数(e)は、衝突前後の相対速度の変化を示す指標です。衝突が完全に弾性であれば、eは1になります。この場合、物体の運動エネルギーは保存されます。反対に、eが0の場合、衝突後の相対速度はゼロとなり、運動エネルギーは完全に失われます。

衝突後のエネルギー損失がある場合、反発係数は0と1の間になります。この範囲内に収束する理由を、次のセクションでさらに掘り下げていきます。

反発係数が0≦e≦1である理由

反発係数は衝突時のエネルギー保存と関連があります。運動エネルギーが完全に保存される場合(e=1)は、衝突前後の運動エネルギーの総和が変わりません。しかし、衝突で一部のエネルギーが他の形態(熱や音)に変わる場合、そのエネルギーは失われます。このエネルギー損失の程度が反発係数に反映され、0≦e≦1の範囲に収束することになります。

もし、反発係数が1より大きい場合、物体同士が衝突後に互いに加速し、エネルギーが増加することになりますが、これはエネルギー保存の法則に反するため物理的にあり得ません。

運動エネルギーと相対速度の関係

質問者の例にあったように、Aが100kg、Bが1gの物体で、衝突後に相対速度が増す状況について考えてみましょう。Aの質量が大きいため、衝突後のAの速度はあまり変わりませんが、Bは軽いため大きく加速されます。このような場合、相対速度は確かに増加するように見えるかもしれません。

しかし、この増加した相対速度にも限界があります。物体同士が衝突する際、Bの速度が増加することでエネルギーがBに移行しますが、Aのエネルギーの損失がBに転送され、全体的なエネルギーの保存が維持されます。反発係数は、このエネルギーの損失と伝達を反映した値となります。

弾性衝突と非弾性衝突の違い

弾性衝突とは、運動エネルギーが保存される衝突のことです。この場合、反発係数は1になります。非弾性衝突では一部の運動エネルギーが失われ、反発係数は0と1の間の値を取ります。

質問者が指摘したように、衝突によって一方の物体のエネルギーが他方の物体に移動することがありますが、この場合でもエネルギーの損失があるため、完全な弾性衝突(e=1)は成立しません。

まとめ

2物体の衝突における反発係数が0≦e≦1である理由は、運動エネルギーの保存とエネルギー損失の関係にあります。エネルギーが完全に保存される場合はe=1となり、運動エネルギーが一部失われる場合は0≦e<1となります。衝突によって相対速度が増加するように見える場合でも、全体的なエネルギーの損失が関わるため、反発係数はこの範囲に収束することが理解できます。

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