ボイジャー1号・2号の通信:弱い電波で数十億光年先とも繋がる理由

天文、宇宙

ボイジャー1号・2号は、地球から非常に遠い位置にありますが、それでも地球との通信が可能です。この通信がどのようにして成り立っているのか、電波の弱さや大距離での通信がどのように実現されているのかを解説します。

電波の伝播と距離:電波は弱くなるがゼロにはならない

電波は、発信源から遠くなるほどその強度が弱くなります。これは、放射された電波が広がりながら進むため、エネルギーが分散するからです。しかし、電波は完全にゼロにはなりません。宇宙空間では障害物がほとんどないため、非常に長い距離でもわずかな電波が届くのです。

ボイジャー1号や2号が地球から数十億光年離れるとしても、通信自体は可能です。ただし、通信には時間がかかり、受信した信号を処理するには膨大な時間と精度が求められます。

ボイジャーの電波出力とFM放送の比較

ボイジャー1号と2号は、20Wという非常に低い出力で通信を行っています。この出力は、地域のFM放送局とほぼ同じレベルですが、それでも数十億キロメートルの距離を超えて信号を受信することができるのは驚異的です。これが可能である理由は、電波の波長、出力、そして宇宙空間の条件が密接に関係しています。

FM放送の電波が数十キロメートルしか届かないのは、周波数の違いと電波の拡散の仕方によるものです。FMの高い周波数帯は、地球の大気中での干渉を受けやすく、距離を伸ばすことができません。

パラボラアンテナの重要性

ボイジャーが地球と通信するために用いるのは、非常に大きなパラボラアンテナです。このアンテナは、微弱な信号を集中させて、受信するために不可欠な役割を果たします。大きなアンテナは、微弱な信号を効率よく受け取ることができ、また、ボイジャーの出力が低いにもかかわらず、信号を強化して地球に届けることができます。

地球側でも、同様に巨大なアンテナ群を使って信号を受信し、解析します。こうした技術があるからこそ、非常に遠い場所からの通信が実現できるのです。

ボイジャーの通信距離と時間の遅延

ボイジャー1号と2号は現在、太陽系の外縁を超えて進んでおり、その通信には大きな遅延があります。例えば、ボイジャー1号の信号が地球に届くまでには、現在でおおよそ22時間かかります。この遅延は、電波が光速で進むため、距離が長くなるとともに時間がかかるためです。

この通信遅延は、将来的に何百万光年離れるような場合でも、同じように続きます。そのため、ボイジャーから送られるデータが地球に届くまでの時間も膨大なものとなります。

まとめ

ボイジャー1号と2号は、たとえ非常に弱い20Wの出力であっても、巨大なパラボラアンテナの助けを借りることで、数十億キロメートルの距離を越えて地球と通信を行っています。電波は距離が増すほど弱くなりますが、宇宙空間では障害物がほとんどないため、電波が届くのです。また、通信には膨大な遅延が生じるものの、技術の進歩により、地球とボイジャーの間のつながりは今も続いています。

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