「中納言殿は、急ぎおはして見給へば、人のけしきも見えず、いとあさましく奥の方にて従者に問はせ給へど、『はかばかしくいらふべき人もなし。ただ、老いたる下衆の卑しき二人三人候ふ』と申す。」この文章は、平安時代の文学作品に登場する人物が語った言葉です。ここでは、中納言殿の言葉の現代語訳と、それに登場する古語・文法について解説します。
現代語訳
「中納言殿は急いで来られ、周囲の様子を見て、『まったく驚くべきことだ。奥の方で従者に尋ねさせたところ、『適切に答える人は誰もいません。老いた下層の者が数人いるだけです』と答えました』と申します。」
この文章では、中納言殿が急いで来て周囲の状況に驚き、従者に問わせた結果、答えるべき人がいないことに不満を持っています。
重要古語・文法の解説
「おはして見給へば」:この表現は、敬語の使い方を示しています。「おはする」は「いらっしゃる」「おいでになる」という意味で、敬意を表す動詞です。「見給へば」は「見なさると」という意味で、尊敬語の「給ふ」が使われています。
「いとあさましく」:ここでは「いと」が強調の意味で使われ、「非常に」「とても」という意味になります。「あさましく」は「驚くべき」「不思議な」という意味で、状況に対して驚きや不満を示す表現です。
文章全体の解釈
中納言殿は、何か不満があって急いでやってきた様子が描かれています。従者に状況を確認させた結果、予想外の答えが返ってきたことで非常に驚き、落胆しています。この部分では、当時の貴族社会の状況や、その社会における人物間の役割などが暗示されています。
また、「はかばかしくいらふべき人もなし」という部分では、答えるべき人物がいないことへの失望が表現されています。ここでは、社会的な階層や役職に対する不満が現れています。
まとめ
中納言殿の言葉は、当時の貴族社会における人間関係や身分に基づいた問題を反映しており、文法や古語を理解することで、その背景にある感情や状況が見えてきます。現代語訳とともに、古語の使い方を把握することで、平安時代の言語表現がどのように使用されていたかが理解できるようになります。
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