直交行列が対角化可能であるかどうかは、線形代数における重要なテーマです。特に、直交行列が正規行列であることを踏まえた上で、対角化可能であることを示すためにはいくつかの基本的な性質を理解することが必要です。この記事では、直交行列が対角化可能である理由を、エルミート内積やユニタリ行列を用いずに、直感的かつ分かりやすく証明します。
直交行列とは?
まず、直交行列とは、行列Aに対して、Aの転置行列がその逆行列であるという性質を持つ行列のことです。数学的には、次のように表されます。
A^T A = I、ここで、A^Tは行列Aの転置行列、Iは単位行列です。直交行列の主な特徴は、行列の行と列が直交しており、かつ、長さが1であることです。
直交行列の対角化のための基本的な性質
直交行列は正規行列であるため、対角化の可能性が高いことがわかります。正規行列とは、行列Aとそのエルミート共役(転置と複素共役を取った行列)A*が交換可能である行列のことを指します。具体的には、次の条件を満たします。
A A^T = A^T Aです。直交行列Aがこの条件を満たすことから、直交行列は正規行列の一種であり、そのため、直交行列は必ず対角化可能であることが示されます。
直交行列の対角化可能性の証明
直交行列Aが対角化可能であることを示すために、まずはその固有値と固有ベクトルを求める必要があります。直交行列が正規行列であるため、固有値は実数であり、対応する固有ベクトルは直交することが知られています。これにより、直交行列は固有ベクトルで構成された直交基底を持つことが保証されます。
この直交基底を用いて、行列Aは対角行列Dに対して、次のように対角化できます。
A = Q D Q^T、ここで、Qは直交行列で、Dは対角行列です。
直交行列の対角化を行う際のポイント
直交行列を対角化する過程で重要なのは、固有ベクトルが必ず直交するという性質です。これにより、固有ベクトルの集合を正規直交基底として選ぶことができ、対応する対角行列を得ることができます。実際にこの手順を踏むことで、直交行列を対角化することが可能であることが確認できます。
まとめ
直交行列は、その特性から正規行列であり、したがって対角化可能です。固有値と固有ベクトルの性質を用いれば、直交行列を対角化することができ、行列の対角化に必要な手順を踏むことで、確実にその実現が可能であることが確認できます。
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