ショウジョウバエの前後軸決定メカニズム:発生初期の体軸形成のしくみ

昆虫

ショウジョウバエの発生過程において、体の前後軸(前後方向)はどのように決定されるのでしょうか。発生初期の卵母細胞における遺伝子の局在とその後のタンパク質の分布が、体軸形成にどのように関与するのかを詳しく解説します。

体軸決定とは?

体軸決定は、動物の発生過程において、体の前後、左右、腹背などの基本的な軸が決定される重要なプロセスです。これにより、胚の各部位がどの位置に形成されるかの基盤が作られます。

ショウジョウバエの卵母細胞におけるmRNAの局在

ショウジョウバエの卵母細胞では、受精前から特定のmRNAが卵母細胞の前後端に局在しています。例えば、ビコイドmRNAは卵母細胞の前端に、ナノスmRNAは後端に集まっています。

タンパク質の合成と濃度勾配の形成

受精後、これらのmRNAからタンパク質が合成されます。ビコイドmRNAからはビコイドタンパク質が、ナノスmRNAからはナノスタンパク質が合成され、卵母細胞内に濃度勾配を形成します。ビコイドタンパク質は前方に、ナノスタンパク質は後方に多く存在します。

体軸決定における遺伝子の役割

これらのタンパク質の濃度勾配が、後の胚の発生において前後軸の決定に重要な役割を果たします。ビコイドタンパク質が高い領域では前方の構造が、ナノスタンパク質が高い領域では後方の構造が形成されます。

まとめ

ショウジョウバエの前後軸の決定は、卵母細胞内のmRNAの局在と、それに基づくタンパク質の合成・分布によって行われます。この過程は、発生学における基本的なメカニズムの一例であり、他の動物の発生過程にも類似した仕組みが見られます。

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