確率微分方程式や伊藤の公式を用いて、問題の式を展開する方法について解説します。問題では、確率微分方程式:dr_t = -a r_t dt + σ dW_t と与えられた場合に、Y_t = exp(at) * r_t という式を使って、dY_t = exp(at) * σ dW_t となることを証明することが求められています。この記事では、その証明のステップを順を追って説明します。
1. 確率微分方程式の概要
まず、確率微分方程式とは、時間とともに確率的な変動を伴うシステムの動きを記述する方程式です。問題で与えられている確率微分方程式は、dr_t = -a r_t dt + σ dW_t です。ここで、a は定数、σ はボラティリティ、dW_t はウィーナー過程(ブラウン運動)に対応しています。
この方程式は、確率過程 r_t の変動を記述するもので、時間の経過に伴う r_t の変化が、定常的な減少項と確率的なノイズ項によって決まります。
2. Y_t = exp(at) * r_t とおいた場合の式展開
次に、Y_t = exp(at) * r_t とおきます。この式に基づき、伊藤の公式を使って dY_t を求めます。伊藤の公式を適用することで、確率過程に対する微分を計算することができます。
伊藤の公式では、Y_t の微分 dY_t を求める際に、次のように展開します。
dY_t = exp(at) * dr_t + r_t * d(exp(at)) + d(exp(at)) * d(r_t)
ここで、d(exp(at)) = a * exp(at) dt となるので、最終的に次のように書き換えることができます。
dY_t = exp(at) * dr_t + r_t * a * exp(at) dt
3. 確率微分方程式 dr_t の代入
次に、与えられた確率微分方程式 dr_t = -a r_t dt + σ dW_t を dY_t に代入します。これにより、式は次のように変わります。
dY_t = exp(at) * (-a r_t dt + σ dW_t) + r_t * a * exp(at) dt
上記の式を整理すると、r_t * a * exp(at) dt がキャンセルされることがわかります。これにより、次のような結果が得られます。
dY_t = exp(at) * σ dW_t
4. 証明の完了
このようにして、伊藤の公式を適用し、確率微分方程式から得られる式を展開することで、最終的に dY_t = exp(at) * σ dW_t となることが確認できました。
まとめ
この証明では、確率微分方程式 dr_t = -a r_t dt + σ dW_t を使い、Y_t = exp(at) * r_t の式に伊藤の公式を適用しました。その結果、dY_t = exp(at) * σ dW_t が成り立つことを示しました。伊藤の公式を適用することで、確率微分方程式を展開し、直感的に理解しやすい形に整理することができました。
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