細胞小器官であるミトコンドリアと葉緑体は、現在の真核生物の細胞内で重要な役割を果たしていますが、その起源については長らく議論が続いてきました。特に、ミトコンドリアがα-プロテオバクテリアに由来し、葉緑体がシアノバクテリアに由来するという説は、1970年代にリン・マーギュリスによって提唱された細胞内共生説に基づいています。
細胞内共生説とは?
細胞内共生説は、真核生物の細胞小器官が、かつて独立していた細菌と共生することによって進化したという仮説です。この説によれば、ミトコンドリアは好気性のα-プロテオバクテリア、葉緑体は光合成を行うシアノバクテリアが、それぞれ真核細胞内に取り込まれ、共生関係を築くことで成立したとされています。
ミトコンドリアとα-プロテオバクテリアの関係
ミトコンドリアは、細胞内でエネルギーを生成する役割を担っています。遺伝子解析の結果、ミトコンドリアのゲノムはα-プロテオバクテリアに非常に近いことが明らかになっており、これがミトコンドリアがα-プロテオバクテリアに由来する証拠とされています。
葉緑体とシアノバクテリアの関係
葉緑体は光合成を行い、植物にとって重要な役割を果たしています。葉緑体のゲノムはシアノバクテリアに由来することが分子系統解析によって示されており、これが葉緑体がシアノバクテリアに由来する証拠とされています。
細胞小器官の進化と遺伝子の移行
共生が成立した後、ミトコンドリアや葉緑体は独自のゲノムを持ちながらも、多くの遺伝子は宿主細胞の核に移行しました。この遺伝子の移行は、細胞小器官が独立した細菌から進化してきたことを示す重要な証拠とされています。
まとめ
ミトコンドリアと葉緑体は、それぞれα-プロテオバクテリアとシアノバクテリアに由来し、真核細胞内で共生することによって進化したと考えられています。これらの細胞小器官の起源を理解することは、真核生物の進化の過程を解明する上で重要な手がかりとなります。
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