古文における「し」の使い方は、現代語とは異なる部分が多く、理解が難しいことがあります。今回は、紫式部日記に登場する一節を例に、「聞こえ侍りし」の「し」の使い方について解説します。
「聞こえ侍りし」の意味と文法的な背景
紫式部日記の一節「左衛門の内侍といふ人侍り。あやしうすずろによからずに思ひけるも、え知り侍らぬ心うきしりうごとの、多う聞こえ侍りし。」では、「聞こえ侍りし」という表現が登場します。この「し」は、連体形として使用されていますが、なぜ連体形が使われているのでしょうか?
「侍りし」の「し」は、過去の出来事を表す助動詞「し」であり、古語における連体形の一部です。この「し」は、動詞の連体形で、名詞に続くことでその名詞に過去の事実を修飾する役割を持っています。「聞こえ侍りし」の場合、「聞こえる」という動詞が「侍りし」と組み合わさることによって、過去の出来事や状況が述べられているのです。
「し」の使い方とその意味
古文での「し」の使い方は、現代日本語では見られない形式です。一般的に、動詞の「し」は過去を表すため、助動詞の「し」として、過去の状態や出来事を記述する役割を持っています。
「し」の使い方には、動作の継続やその後の出来事に関連する意味が含まれることがあり、この一節の場合も、過去に起こった出来事として「多くのことが聞こえた」という意味が込められています。
「聞こえ侍りし」の文脈とその解釈
文脈から判断すると、「聞こえ侍りし」は「たくさんの情報が伝わってきた」という意味合いを持ち、相手の行動や発言が周囲に広がり、影響を与えたことを示唆しています。ここでの「し」は、過去にそういった出来事があったことを示す役割を果たしており、現代語で言う「聞こえた」の過去形に近い意味になります。
また、「し」は、古語特有の形式であり、現代の日本語ではあまり見られない表現ですが、古文の読み解きにおいては非常に重要な役割を果たしています。
まとめ
「聞こえ侍りし」の「し」は、過去の出来事や状態を表す古語の連体形として使われています。現代語で言うところの「~だった」という意味合いを持ち、過去の事実や状況を説明する際に使われる表現です。古文の学習において、このような助動詞やその使い方を理解することが重要です。
紫式部日記をはじめとする古典文学を読む際には、このような古語や助動詞の使い方を意識することで、文章の意味や文脈がより深く理解できるようになります。
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