竣工直後の物件において、配電盤の絶縁抵抗測定を行った結果、電灯回路の絶縁抵抗が基準値を下回っていることが確認され、その原因を調査したところ、日立製の「セントラルステーション適温適所(型式:PSC-A64GT3)」による集中リモコン回路が関係していたという事例が発生しました。このような事例における絶縁抵抗の低値の原因や測定時の注意点について解説します。
絶縁抵抗が低く出る原因
集中リモコンなどの電子機器を含む回路では、絶縁抵抗測定時に低い値を示すことがあります。これは、コンデンサや保護素子などの内部回路の影響によるものであり、絶縁自体が劣化しているわけではありません。特に、電子機器の内部では、絶縁測定器による測定の際に回路内部の部品が影響を及ぼすことが多くあります。
このような状況では、測定器が求める基準とは異なる条件が発生するため、低い絶縁抵抗値が表示されることがあります。したがって、絶縁抵抗測定の結果を解釈する際には、機器の内部構造や仕様に基づいた判断が必要となります。
測定時に考慮すべき機器の構造と仕様
集中リモコンのような電子機器を含む回路では、通常の回路と異なる構造を持つため、絶縁抵抗の測定値が低くなることがあります。例えば、コンデンサやフィルタ回路、保護素子などは、絶縁抵抗測定時に内部の容量成分や導通部分が影響を与え、低い値を示すことがあるのです。
そのため、特に電子機器を使用している回路では、測定時に測定器の影響も考慮する必要があります。測定器が通常の絶縁抵抗測定とは異なる条件下で動作する場合があることを理解し、適切な判断が求められます。
日立製セントラルリモコンの注意点と情報
日立製「セントラルステーション適温適所(型式:PSC-A64GT3)」に関して、メーカー側では絶縁抵抗測定に関する注意点を明記している場合があります。この機器に限らず、電子機器を含む制御回路においては、絶縁測定時に内部回路が影響を与えることを理解することが重要です。
実際には、メーカーの技術資料やマニュアルに記載されていることもありますが、必ずしもすべての機器において明確に「絶縁抵抗測定時には低い値が出る場合がある」と記載されているわけではないため、メーカーに直接確認することが推奨されます。
過去の事例と未然に防ぐための対策
過去にも、電子機器や特殊な回路が原因で絶縁抵抗測定時に異常値を示す事例は報告されています。これらの事例では、実際に回路が正常であったにもかかわらず、測定結果が誤解を招く場合がありました。
このような問題を未然に防ぐためには、測定結果を単独で判断するのではなく、機器の設計や使用されている部品に関する知識を持ち、総合的な判断を行うことが重要です。また、必要に応じて、製造元や専門家に相談することが解決策となります。
まとめ
電子制御機器を含む回路の絶縁抵抗測定には、機器の内部構造や回路の特性を理解した上で行うことが大切です。特に、コンデンサや保護素子などが影響を与える場合、測定結果が低く出ることがあり、その解釈には慎重さが求められます。メーカー側の注意点や仕様書を確認し、経験豊富な技術者の意見を参考にしながら、正しい判断を行いましょう。
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