水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化ナトリウムなどの水溶液での電離式に関する疑問を解決するため、今回はそれぞれの水酸化物イオンの振る舞いに注目します。特に「()」がつく条件と、その後に付く数字の意味について詳しく解説します。
1. 水酸化物イオンとは
水酸化物イオン(OH⁻)は、水酸化物が水に溶けたときに発生する負の電荷を持つイオンです。水酸化物は、金属の水酸化物や塩基性物質と反応することが特徴的です。
水酸化物イオンは通常、水に溶けるとそのまま水中に放出され、アルカリ性を示します。では、なぜ水酸化カルシウムや水酸化バリウムには()がつくのか、またその後の数字の意味について探ります。
2. 電離式における()の意味
電離式で「()」がつく理由は、物質が水に溶けるときにその解離状態を示すためです。特にカルシウムやバリウムなどの二価の金属水酸化物は、溶解後に二つの水酸化物イオンを放出するため、「()」でその個数が示されます。
例えば、水酸化カルシウム(Ca(OH)₂)の電離式は次のように表されます。
Ca(OH)₂ → Ca²⁺ + 2OH⁻
この式の「2」は、1モルの水酸化カルシウムが水中で2モルの水酸化物イオン(OH⁻)を放出することを示しています。水酸化カルシウムのような二価金属塩では、電荷のバランスを取るために水酸化物イオンが2つ放出されます。
3. 水酸化ナトリウムとの違い
一方、水酸化ナトリウム(NaOH)の場合、電離式は以下のように表されます。
NaOH → Na⁺ + OH⁻
水酸化ナトリウムは単価の金属であり、1モルの水酸化ナトリウムが1モルの水酸化物イオン(OH⁻)を放出するため、()の後に数字はつきません。
この違いは、ナトリウムが単価金属であり、カルシウムやバリウムのように2価ではないため、イオンが1つしか放出されないからです。
4. ()の後ろの数字の意味
水酸化カルシウムや水酸化バリウムのような化合物で見られる「()」と数字の組み合わせは、その物質が水中でどれだけ多くの水酸化物イオンを放出するかを示しています。例えば、水酸化カルシウムの「Ca(OH)₂」では、2は水酸化物イオンの個数を示し、2つのOH⁻が放出されることを意味します。
また、水酸化バリウム(Ba(OH)₂)も同様に、1モルのBa(OH)₂が2モルのOH⁻を放出するため、(OH)₂のように2がつきます。
5. まとめ
水酸化カルシウムや水酸化バリウムにおける電離式での()と数字は、その物質が水中で放出する水酸化物イオンの数を示すためのものです。水酸化ナトリウムのように、単価の金属では()がつかず、数字は省略されます。これを理解することで、化学反応式や電離式の理解が深まり、理科の学習がよりスムーズになります。
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