行列の掛ける順序と基底変換における右掛けの理由

大学数学

2025.05.22

行列の掛け算の順序については、左から掛けるのか右から掛けるのかが混乱を招くことがあります。特に基底変換における右掛けがなぜ必要なのか、理解しづらいこともあります。この記事では、行列の掛け算における方向性と、基底変換で右から掛ける理由について解説します。

行列の掛け算の基本

行列の掛け算を行う場合、通常は左から掛けるという考えが一般的です。例えば、行列Aをベクトルxに作用させる場合、A * xという形で左から掛けます。この操作は、行列Aがベクトルxにどのように作用するかを示します。

一方で、行列が他の行列に作用する場合、左掛けまたは右掛けを使うかは文脈によって異なります。特に基底変換を行う場合、右掛けが使われることが多いのです。

基底変換の際に右から掛ける理由は、行列の列ベクトルが新しい基底に変換されるためです。基底変換では、新しい基底を表す行列を使って、古い基底から新しい基底への変換を行います。この変換操作を行列の掛け算で表すと、右掛けの形になることが多いです。

具体的には、変換行列Tとベクトルvが与えられたとき、新しい基底におけるベクトルvの座標を求めるためにTを右掛けします。これにより、Tがvの座標を新しい基底で表すように変換することができます。

例えば、2次元空間で基底変換を考えた場合、変換行列Tは、旧基底のベクトルを新基底に対応させる行列です。もし、vが旧基底での座標を持つベクトルであれば、新基底での座標はT * vのように右から掛ける形で求められます。

この右掛けが必要となる理由は、行列の作用が基底を変換するため、元の座標系から新しい座標系への変換が正確に反映されるからです。左から掛けると、座標系が逆に変換されることになるため、右掛けが適切な方法となります。

行列の掛け算において、左掛けと右掛けの違いは文脈によって使い分けられます。基底変換では、右掛けが一般的に使われる理由は、新基底への変換が正しく行われるためです。この違いを理解することで、行列の掛け算や基底変換の操作がスムーズに行えるようになります。