確率統計の基本的な概念の一つに、同時確率分布とその周辺確率密度があります。今回は、同時確率密度fの射影として周辺確率密度fx、fyをみなすことができるのかについて解説します。
同時確率分布と周辺確率密度
まず、同時確率分布と周辺確率密度の定義を確認しておきましょう。同時確率分布f(x, y)は、xとyが同時に取る値に対する確率を表す関数です。一方、周辺確率密度fx(x)やfy(y)は、xやyの一方が取る確率だけを考慮した確率密度関数です。
周辺確率密度は、同時確率分布を一方の変数に関して積分することで得られます。
周辺確率密度は射影とみなせるか?
周辺確率密度fx(x)とfy(y)は、同時確率密度f(x, y)をxまたはy軸方向に「射影」したものとして解釈することができます。具体的には、同時確率密度f(x, y)をそれぞれxまたはyに関して積分することで、xやyのみに依存する確率密度を得ることができます。
例えば、周辺確率密度fx(x)は、次のように定義されます。
fx(x) = ∫ f(x, y) dy
これは、x軸に沿った「射影」を行っていると見ることができます。同様に、fy(y)もy軸に沿った射影です。
実例で理解する
実際に、同時確率分布f(x, y) = x * y(x, y > 0)の場合を考えてみましょう。このとき、周辺確率密度fx(x)は次のように求められます。
fx(x) = ∫₀^∞ x * y dy = x * [y]₀^∞ = x * ∞ = ∞
このように、実際の問題でどのように射影を行うかを理解することで、確率分布の変数間の関係をより深く掴むことができます。
射影の数学的背景
射影とは、数学においてはある高次元の空間から低次元の空間に写す操作です。確率論における射影は、同時確率分布の一部の情報を抜き取って、それを新しい確率密度関数として表現する方法です。この操作によって、二次元以上の確率分布をより簡単に扱うことができます。
まとめ
周辺確率密度fx(x)とfy(y)は、同時確率密度f(x, y)をそれぞれx軸やy軸方向に「射影」したものとして理解することができます。この考え方を使うことで、高次元の確率分布を低次元に簡素化することができます。確率統計における射影の概念は、特に多変量データの解析において非常に重要な役割を果たします。
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