一塩基置換がDNAにおいて起こると、そこから合成されるタンパク質にどのような影響が出るのでしょうか。特に新たに開始コドンが生じた場合、その変化がタンパク質の構造や機能にどのように影響するかについて解説します。
一塩基置換とは?
一塩基置換(point mutation)は、DNAの塩基の一つが他の塩基に置き換わる現象です。これにより、対応するmRNAが変化し、合成されるタンパク質が異なるアミノ酸列になることがあります。この変化が生物の性質にどのように影響するかは、置換がどこで起こるかによって異なります。
例えば、「A」塩基が「G」に変わるといったように、わずかな塩基の変化が大きな結果を招くこともあります。
開始コドンの変化が及ぼす影響
開始コドンは、タンパク質合成の開始を指示する役割を果たします。通常、開始コドンは「AUG」であり、これによってmRNAからの翻訳が始まります。もし一塩基置換が起こり、新たに開始コドンが生成される場合、タンパク質合成が異常に開始される可能性があります。
例えば、元々の開始コドンが変異し、他の位置に新しい開始コドンが生じた場合、タンパク質の合成が不適切な場所から始まることになります。その結果、タンパク質が途中で切れてしまったり、全く異なる機能を持つタンパク質が合成されたりすることがあります。
タンパク質合成の異常とその影響
新しい開始コドンが生成された場合、次のような影響が生じることがあります。
- 不完全なタンパク質の生成
- 異常な機能を持つタンパク質が合成される
- 翻訳の途中で停止してしまい、短縮されたタンパク質が生成される
これらの影響により、細胞内で重要な役割を担うタンパク質の機能が失われたり、誤った信号伝達が行われたりする可能性があります。
一塩基置換による病気の発生
一塩基置換が引き起こすタンパク質の機能異常は、遺伝病やがんなどの病気の原因となることがあります。例えば、鎌状赤血球症は、ヘモグロビンを構成するアミノ酸の一部が変異することによって引き起こされます。
また、特定の遺伝子における開始コドンの変化が、異常なタンパク質を作り出し、その結果として病気を引き起こす場合もあります。
まとめ
一塩基置換によって新たに開始コドンが生成された場合、タンパク質合成の開始位置がずれるため、異常なタンパク質が生成される可能性があります。これにより、タンパク質の機能が失われたり、誤った機能を持ったタンパク質が合成されることになります。こうした変化が病気を引き起こす原因となる場合があるため、遺伝子の変異がもたらす影響について理解することは重要です。
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