R[x,y]が単項イデアル環でないことの証明方法

大学数学

R[x,y]は実数体R上の2変数多項式環であり、この環が単項イデアル環でないことを示す問題です。単項イデアル環とは、すべてのイデアルが単項イデアル(1つの生成元で構成されるイデアル)である環のことです。本記事では、実数係数の2変数多項式環R[x,y]が単項イデアル環でないことを証明する方法について詳しく解説します。

問題設定とイデアルの定義

まず、問題を理解するために、基本的な設定と用語を確認しましょう。R[x,y]は、実数体Rにおける2変数多項式の集合です。I={f∈R[x,y] | f(1,1)=0}という集合Iは、f(1,1)=0を満たす多項式からなる集合です。このIがR[x,y]のイデアルであることを証明するために、まずIの定義と性質を確認することが必要です。

Iがイデアルであることを示すには、R[x,y]の元であれば何でもIに加算したりスカラー倍したりした結果がIに含まれることを確認する必要があります。

イデアルIが単項イデアルでないことの証明

次に、Iが単項イデアルでないことを示すための手順を見ていきます。Iが単項イデアルであるためには、Iが1つの多項式によって生成される必要があります。つまり、Iがf(x,y)で生成されるとすると、Iのすべての元がf(x,y)のスカラー倍またはその加算で表されなければなりません。

まず、x-1∈Iという条件を考えます。この場合、x-1はf(x,y)で割り切れるため、f(x,y)はxについて1次式である必要があります。

f(x,y)が1次式である理由

次に、同様にy-1∈Iという条件を考えます。y-1もf(x,y)で割り切れるため、f(x,y)はyについても1次式でなければなりません。これにより、f(x,y)は次のように表されることがわかります。

f(x,y) = (ay + b)x + (cy + d) = (ax + c)y + (bx + d)

矛盾の導出

上記の式から、x-1がf(x,y)で割り切れるため、a=c=0であることがわかります。同様に、y-1がf(x,y)で割り切れるため、a=b=0となります。これにより、f(x,y)は定数dであり、d≠0ならf(1,1)≠0となり矛盾が生じます。

また、d=0ならばf(x,y)=0となり、Iは単項イデアルである必要がありますが、I={0}であればIは単項イデアルでないことが証明されます。

まとめ

以上の議論により、R[x,y]が単項イデアル環でないことが証明されました。Iが単項イデアルでない理由は、f(x,y)が1次式であることから導かれる矛盾によるものです。このように、単項イデアルの性質を利用して、R[x,y]のイデアルが単項イデアルでないことを証明しました。

コメント

タイトルとURLをコピーしました