SCM435は高強度の合金鋼であり、焼き入れ前の加工においては特有の注意が必要です。特に加工時に白くむしれたような状態になることがありますが、これを回避するための適切な刃物選択や切削条件を理解することが重要です。この記事では、SCM435を旋盤で加工する際の刃物選びや切削条件について解説します。
SCM435の特徴と加工時の注意点
SCM435は、クロムとモリブデンを含む合金鋼で、高強度や耐摩耗性が求められる用途に適しています。しかし、この材質は焼き入れ前後で加工しやすさに大きな差があり、焼き入れ前の状態でも加工時には白くむしれた状態が発生することがあります。この現象は、過度の切削熱が原因であることが多いため、切削条件を適切に設定することが重要です。
加工時の注意点として、切削熱を抑えるための冷却方法や切削速度、切削液の使用が挙げられます。また、P種(超硬合金)の刃物を使用することが一般的ですが、切削条件や刃物の状態によっては、刃物が早く摩耗してしまうこともあるので注意が必要です。
適切な刃物選び:P種刃物の利点と使用時のポイント
P種(超硬合金)刃物は、SCM435のような高強度の素材に対しても十分に耐えることができます。超硬合金はその硬さと耐摩耗性に優れており、高速切削にも適しています。しかし、SCM435は焼き入れ前に加工を行う際に切削熱が問題になるため、刃物の選定には慎重さが求められます。
また、P種刃物を使用する際には、切削温度を管理するための冷却方法を適切に設定することが重要です。冷却液を十分に供給し、刃物が過熱しないように注意しましょう。
切削速度と加工条件の設定
SCM435を旋盤で加工する際の切削速度は、材質や刃物の種類によって異なりますが、一般的に切削速度120m/minは適切な範囲にあります。しかし、加工時にむしれたような状態が出る場合、切削速度が高すぎる可能性があります。その場合は、切削速度をやや低く設定することをおすすめします。
例えば、切削速度を80〜100m/minに設定し、切削条件を微調整することで、よりきれいな仕上がりが得られることがあります。また、切削の深さや送り速度も重要な要素です。深すぎる切削や過度の送り速度は、加工面にムラを生じさせる原因となるため、適切な設定が求められます。
冷却と切削液の重要性
切削時に発生する熱は、SCM435のような高強度材料を加工する上で大きな課題となります。冷却液を使用することで、刃物と材料の温度を管理し、過熱によるむしれや摩耗を防ぐことができます。切削液の選定や適切な供給方法も重要な要素です。
また、冷却効果を高めるために、高圧の冷却液を使用することや、切削中に冷却液を繰り返し供給することで、加工面の品質を向上させることが可能です。
まとめ
SCM435の旋盤加工においては、P種(超硬合金)刃物を使用し、適切な切削速度(80〜120m/min程度)や冷却方法を設定することが重要です。切削時のむしれ現象を防ぐためには、過度の切削熱を避け、冷却液を十分に供給することが必要です。これらのポイントを押さえることで、より精度の高い加工が可能となります。
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